中央区民マガジン

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常盤小と久松小が150周年!校長・園長・PTA会長インタビュー(1/3ページ)

~ 都内でも有数の歴史を誇る日本橋の2校に色々聞いてみた ~

2023.01.18
文、撮影:ユキイデ
中央区には歴史がある小学校・幼稚園が複数存在します。明治6年に開校し、今なお伝統が継承されている小学校が日本橋になんと4校もあるのです。その4校とは、常盤(ときわ)・阪本・久松・有馬。今回は150周年式典と祝賀会を終えた常盤と久松の2校にスポットライトを当てて、校長・園長・PTA会長にインタビューを行いました。(1/3ページ)

常盤と久松。校長・園長・PTA会長インタビュー

常盤小学校にて記念写真

左から
常盤学校みどり会 会長 鴛尾(おしお)明さん
常盤小学校 校長・常盤幼稚園 園長 永井勝巳さん
久松小学校 校長 植村洋司さん
久松幼稚園 園長 川越裕子さん
久松小学校・幼稚園PTA 会長 及川純さん

常盤小学校の校庭に集まっていただき記念写真撮影。後ろに写っている松の木も相当歴史があるらしく、「この松の木は決しては枯らしてはいけないということで、歴代校園長のあいだで引き継がれているんですよ。」と、笑顔で常盤小の永井校長が教えてくれました。早速歴史と伝統を垣間見た気がしました。
※インタビュー内容は2022年10月4日時点の内容です。


周年行事はどのようなことを行うのですか?
常盤 永井校長
「常盤小は150周年、常盤幼稚園(※)は127周年ということで、10月29日に式典と祝賀会を開催する予定です。山本区長や教育委員会の方々、地域の方々などがご出席されます。コロナ感染拡大防止のため式典会場には全学年ではなく5・6年生のみ参加、他の学年は教室でリモート参加する予定です。」

※常盤幼稚園は平成19年度より休園中。

10月29日 常盤小で開催された式典の様子 ※写真提供:みどり会

久松 植村校長
「久松は小学校が150周年であると同時に、幼稚園は80周年です。12月3日に記念式典と祝賀会を行います。我が校は児童数が多い(※)ので体育館には6年生だけが参加し、他の学年と幼稚園は教室でオンライン映像を視聴する形で行います。常盤と同じく感染症拡大対策を行い来賓数を減らしますが、山本区長や歴代校園長、そして久松小設立に多額の出資をしていただいた久松家の方もお越しになります。」

※2022年9月1日時点での久松小学校の児童数は888名。幼稚園は145名。

久松小・幼稚園の入口には大きく「150」「80」の文字が

久松 川越園長
「久松の特徴は小学校と幼稚園の親密な連携です。周年行事にはもちろん幼稚園も参加します。「ひさちゃん」「まつくん」というキャラクターが存在するのはご存知ですか?小学校140周年・幼稚園70周年の時に考案されたキャラクターで、今回は150周年・80周年バージョンを作りました!小学生の皆さんがデザインを考えてくれて、幼稚園の子どもたちはそれに投票して、久松が一体となって完成させました。」

左が「ひさちゃん」右が「まつくん」

常盤みどり会 鴛尾会長
「常盤にも、もちろんキャラクターはいますよ!」

常盤の周年ロゴと「ときまつちゃん」※写真提供:みどり会

ところで、常盤はPTAという名前ではなく『常盤学校みどり会』という呼び方をしています。常盤周辺の老舗の企業やお店の方が歴代会長を務めていますよね?鴛尾さんも日本橋小舟町の老舗鰻店『高嶋家』を経営されています。独特な雰囲気があるように感じるのですが、どんな雰囲気なのでしょうか?
常盤みどり会 鴛尾会長
「特認校(※)ということもあってか、子どもたちの教育や行事ごとに熱心な親御さんが多いような気がします。入学早々どんな活動をするのですか?と聞きに来てくれる方もいましたし。それから、みどり会は日本橋一の部(日本橋本石町・本町・室町)を中心とした地域の皆さまにもご参加いただいております。保護者・教職員・地域の三者が手を取り合って、子どもたちの学校生活をサポートする活動に取り組んでおります。」

※小学校特認校制:中央区では通学区域を前提としながらも、施設に余裕のある学校を「特認校」として指定し、その特認校には通学区域に関係なく、希望により就学できる制度。城東・泰明・京橋築地・常盤・阪本の5校。

みどり会について語る鴛尾明さん(一番右)

僕も息子が久松小に通っていてPTA活動に参加していますが、久松は伝統校ということで構えていたのですが…思ったほど堅苦しくないというか(笑)。及川さん、久松のPTAってどんな雰囲気でしょうか?
久松PTA 及川会長
「そうですね。昔は特定の親御さんがずっとPTAをやっているイメージがありましたが、ここ数年マンションが増えてきて新しい方達が増えてきましたね。少しずつ色んな形で、色んな保護者の方が一緒に関わりながら子どもたちを見守っていく雰囲気になってきていると思います。久松ならではの伝統はありますが、少しずつ柔らかく移行しながらみんなで参加している。割とオープンな感じだと思います。」

PTAの雰囲気を語る久松PTA会長及川さん(一番左)

先生や保護者だけでなく、地域の方々がよく子どもたちに挨拶をしてくれます。新興住宅地に住み新しい小学校に通っていた自分にとって、それはもう目から鱗でした。都心なのに皆さん冷たくない。安心感があるというか。
久松PTA 及川会長
「常盤も久松も学校・家庭・地域連携で子どもたちを見守っていきましょう、というのは同じですね。」

久松 川越園長
「久松幼稚園は久松児童公園との間の場所、桜広場でも遊ぶのですが、地域の方々に声をかけていただくことが多いんですよ。『僕もこの幼稚園出身なんだよね!』と話しているご高齢の方がいたのです。その言葉を私や他の先生が耳にして、同時に子どもたちにも聞こえていたと思います。そういうところから地域の方々の思いや支えをとても感じます。」

経済産業省の近代化産業遺産に認定されている常盤の校舎

子どもたちに伝統を教えるという部分で工夫している点はありますか?
常盤 永井校長
「常盤の特徴である国際教育・英語もありますが、もうひとつ大事にしているのが伝統文化です。各学年の発達段階に応じて日本の文化、特に中央区日本橋の文化に触れる学習をしています。凧作りであるとか、老舗めぐり、地域見学。特に常盤の場合は老舗のお店の人たちに協力いただき、日本橋の良さや技を学習しています。」

常盤小学校児童作成「老舗の技と知恵」※写真提供:みどり会

久松 川越園長
「幼稚園が80歳というのが、どれぐらいのものなのか子どもたちにはまだピンと来ないかもしれませんよね。幼稚園では毎月誕生会をするのですけど、私が子どもたちに話すコーナーで園の歴史に触れるクイズを出しているんです。『まつ・たけというクラスの名前があるけど、これはなんでこの名前になったんでしょう?』という感じで。クイズを出しながら少しずつ自分たちの先輩方が築いてきた幼稚園ということを感じられるように、幼稚園児なりにその歴史の重みを感じるように心掛けています。」

園児たちと地域の人々との交流について語る川越園長

久松では、幼稚園は地域めぐりを行ったり、小学校では周辺企業やお店との交流を行ったりしています。それはやはり地域の方々の支援と思いが込められて、明治時代に開校した学校だからだと思います。その中でも学校の沿革にも出てくる『久松家』のお話をもう少し教えてくれますか?
久松 植村校長
「伊予松山藩主の末裔、久松定謨伯爵から多額の寄付をいただき、また地域住民がお金を集め、力を合わせて学校をつくりはじめたと記念誌にあります。150周年記念式典には、久松家の方をお招きしています。久松家と御縁のある愛媛県松山市立番町小学校との交流もあります。番町小学校も創立時に久松家から支援を受けたという共通点があり、その御縁で今年度4年生がオンラインで交流しています。」

校舎内の「久松資料館」には貴重な資料が保管・展示されている

最後に、節目を迎えられた思いをぜひお聞かせください。
常盤 永井校長
「常盤は地域の方々の思いが込められた幼童学所から始まりました。やはり地域の方々への感謝と恩返しをしたいという気持ちが強いです。それには学校で取り組んでいることを皆さまへお伝えすることが大事だと思います。子どもたちには培ってきた歴史を振り返りながら、これからの新しい常盤というものを考えて欲しい。そしてこの機会に日本橋や中央区のことを考えるきっかけになってくれればと思います。」

常盤 永井校長(左) と 久松 植村校長(右)

久松 植村校長
「大きな節目の年に校長として迎える事ができたのはとても貴重ですし、とてもありがたいことだと思っています。『感謝、愛校心、連帯感・絆』。久松ではこの3つのことばを大切にしながら、先代の皆さまが築いてきた歴史と伝統を大切にしていきたいと思います。親子三代久松出身!という話を時々耳にします。あるいはそれ以上の方もいらっしゃるかもしれません。地域の方々への支えには、感謝の気持ちとこれからも宜しくお願いしますという気持ちです。」

久松の校舎には「感謝、愛校心、連帯感・絆」の文字が

常盤みどり会 鴛尾会長
「今回の記念式典を行うにあたって、歴代のみどり会の会長に色々と話を聞いて初めて知ったのですが、はじめに幼童学所が設立された頃から子どもたちは英語の勉強をしていたそうです!150年前、当時日本橋というか日本はどんな教育環境だったのか全く想像がつかないですけど…とても驚きました。それにもやはりその当時から日本橋の地域の方の思いが込められていたかと思うと、これからも変わらず大切にしていかなくては行けないと思います。」

常盤みどり会 鴛尾会長(左) と 久松PTA 及川会長(右)

久松PTA 及川会長
「協賛会にてご支援いただいている地域の皆さまにお会いし、久松の子どもたちを大切に見守っていただいていることを実感しています。また、町会の方や保護者の方に、ご自身が子どもの頃に経験した周年の話をお伺いする機会があり、皆さまがとても鮮明に記憶されていることに驚きました。同じように、子どもたちの思い出に残る150周年、80周年になるようにサポートしたいと思います。」
貴重なお時間ありがとうございました!

次のページでは、中央区の小学校の設立年月一覧をまとめました。

地域企業・団体に協賛いただいてます

医療法人社団 SUNSET Zetith Dental Clinic

(銀座1丁目)

株式会社Insity

(日本橋小網町)

明治安田生命保険相互会社 丸の内支社

(八重洲)

株式会社ネオ・コミュニケーションズ

(日本橋箱崎町)

StandardLS株式会社

(日本橋小舟町)

株式会社仕事以外ドットコム

(日本橋堀留町)

>>協賛について

ユキイデ (編集部)

2006年から日本橋エリアに住み始める。 南大阪生まれの巨漢。デスメタルが大好き。 おばあちゃん子。

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