「あんこが美味しいと言ってくださるのが本当に嬉しいんです。お饅頭にしてもどら焼きにしても最中にしても、同じつぶしあんでもそれぞれの御菓子によって調整を変えているんです。」
~ 紡がれていく甘い歴史。伝統と革新が織り成す挑戦 ~
「あんこが美味しいと言ってくださるのが本当に嬉しいんです。お饅頭にしてもどら焼きにしても最中にしても、同じつぶしあんでもそれぞれの御菓子によって調整を変えているんです。」
優しく、そして誇らしげな表情で、普段は撮影もお断りしているという工場での作業のお写真を見せてくださいました。
今回ご紹介した亜墨利加万頭と仏蘭西万頭でも触れましたが、計算しつくされた皮の薄さは、機械では再現することができないのだそう。
機械を導入しようとしたこともあるそうですが、皮が厚くなり大きさも形も変わり化粧箱にも入らなくなってしまったのだとか。
「とことん手作りを追求し大量生産はしない。だから、どら焼きひとつとっても、大きさも違えば重さも表情も微妙に違うんです。かえってそれが梅花亭の付加価値になるのではないかと思っています。」
ひとつひとつあん玉をすくいあげて、お箸を使って焼き上げる独特のどら焼きや、極薄の皮に職人の技が凝縮されている亜墨利加万頭や仏蘭西万頭など、手作りでなければ成り立たない銘品の数々。長年使用されすり減った木型などを拝見し、取材ということを忘れ思わず見入ってしまいました。
現在職人さんは、最年少が35歳。最年長が70歳。梅花亭の御菓子を食べて育った方も働いていらっしゃるとのこと。お客さんだけではなく、従業員の方からも世代を問わず愛される梅花亭さんを知ることができ、梅が花開くように私の口元も綻ぶのでした。
お客様だけではなく、地域の企業の方との関わり合いも忘れていません。
深川店には喫茶部門が設置されているのですが一番人気はコーヒー。そのコーヒーやマシンは本店の向かいの「日東珈琲」さんから。おしるこに添えられている佃煮は深川店のすぐ隣の佃煮専門店の老舗「筑定」さんのもの。
「地元の人達に少しでも貢献できたらと思うんです。」
そう仰る実千さんや生知枝さんとお話しながら頭に浮かんだのは、「相」という文字。
恩や貸し借りを作るのではなく、より良い文化を継承していきたいという思いが共鳴し繋がれていく。
170年を超える歴史に胡坐をかかず、お客様、地域の企業、それぞれを大切にしながら、相手がいるからこそという謙虚かつ真摯な情熱が数々の御縁を生み出しているのではないでしょうか。
今後は深川店にてどら焼きの実演販売してみたいとおっしゃる実千さん。
梅花亭さんの特徴的な、丸くて平らな焼きたてのどら焼きと、美味しいコーヒーの組み合わせを考えただけでうきうきしますね♪
深川店にはのれん会初期の銅板も!
今年は日本橋小伝馬町にて「べったら市」が3年ぶりの開催されます。べったら市の期間だけの和菓子「切山椒」と「栗蒸羊羹」も大変人気なのだとか!こちらは小伝馬町店のみで限定販売とのこと。
美味しさは勿論、機械には真似できない職人さんの技術と、それらがより引き立つような生知枝さんと実千さんの新しい試みを楽しみにしていきたいなと思います。
梅花亭 本店(霊岸島(新川))
https://www.baikatei.asia/
東京都中央区新川2-1-4
03-3551-4660
9時~17時(土日祝定休)
東京メトロ日比谷線・東西線「茅場町」駅1番口より徒歩3分
小伝馬町店
東京都中央区日本橋小伝馬町12-5
03-3661-7604
10時~17時(土日祝定休)
東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅1番口より徒歩1分
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