案内パネルの前に『浜町標本』のおさらいをしましょう。
1976年、都営新宿線の掘削工事中に何かの骨が出土。調査の結果、ナウマンゾウの化石と判明しました。場所は浜町2丁目の小諸そば浜町店の裏あたりです。
最終的に3頭の化石が出土し、その中の一個体が頭蓋、体幹、四肢の全身骨格が揃っていました。同一個体での全身骨格は日本では初で学術的にも非常に重要な発見でした。
~ 半世紀前に発掘された貴重なナウマンゾウの化石を記念して ~
案内パネルの前に『浜町標本』のおさらいをしましょう。
1976年、都営新宿線の掘削工事中に何かの骨が出土。調査の結果、ナウマンゾウの化石と判明しました。場所は浜町2丁目の小諸そば浜町店の裏あたりです。
最終的に3頭の化石が出土し、その中の一個体が頭蓋、体幹、四肢の全身骨格が揃っていました。同一個体での全身骨格は日本では初で学術的にも非常に重要な発見でした。
この化石は東京都の所有となり八王子市の高尾自然博物館に展示され、同館の閉館時に八王子市に寄贈されました。現在は一般展示されることはなく施設に保管されています。
高尾自然博物館での展示の様子
このトピックス、なぜか地元浜町の住民も学芸員も把握していなかったようで、1990年代まで中央区で話題になることはほとんどありませんでした。
その後、八王子市への視察を行ったり、高尾自然博物館の閉館時に所有を打診したりと動きはあったようですが、特に実績はなく現在にいたります。
そこで、まずは基本からと『浜町標本』の勉強が始まったのが2021年。その当時のことは中央区民マガジンでも煽り気味に記事にしました(先日、悪ノリしすぎと怒られました)。
あれから浜町の地元町会や企業を中心に、地元が出来ることを現実的に模索した結果、今回の「ナウマンゾウの化石『浜町標本』」発掘を記念した案内パネルの制作に至りました。
江戸東京博物館での下あごの化石(レプリカ)
前置きが長くなりましたがナウマンゾウの登場です。
左下に実際の化石写真がありますが、フォルムや生物学的な特徴を維持したままでの親しみやすい可愛らしいデザイン。さらに左の解説は区民なら熟読必須です。そのうち中央区観光検定にも出ること間違いなし。
式典には山本区長を始め地元の町会、近隣小学校のPTA会長や教育委員会などから来賓が出席。テープカットで案内パネルのお披露目を祝いました。
今回のデザインを担当したのは浜町にゆかりのある山本重也さん。愛犬と一緒にご夫婦で見学されていました。親しみのあるデザインとの依頼だったそうですが、教育資料の側面もあるためリアリティとデフォルメの加減で苦労したということです。
山本重也さんご夫婦
この化石は上流で死亡して流れて着いた個体の可能性が強いそうですが、時代によってはナウマンゾウがこの辺りに生息していたのは間違いないよう。実はナウマンゾウの化石は日本橋や日本橋本町、他にも日本橋本石町の日本銀行の建設時にも発掘されています。まさにこのイラストの通り浜町を始め中央区内をナウマンゾウが闊歩していたのです。ロマンありますね。
山本区長と司会の浜二西部町会の神谷俊宏さん
除幕式の後は琵琶湖博物館の館長、高橋啓一さんによる特別講演会が行われました。高橋さんは実際に浜町標本の発掘をした国内のナウマンゾウ研究の第一人者。当時の状況を交えつつナウマンゾウについて語りました。
冒頭で「私には二人の母がいる。実母とこの浜町標本だ。」との言葉。
琵琶湖博物館館長 高橋啓一さん
大学生でこの発掘に携わりご自身の今後を決定づける存在になったそうです。講演は優しさと浜町標本への愛と熱意に溢れた素晴らしいものでした。
印象的な〆の言葉を引用します。
講演の様子は後日東京ベイネットワークで放送すると思います。ぜひそちらをご覧ください。
今回、こんなに可愛いらしいイラストになったのも、全ては子供を始めとした地域の人たちに見て欲しいから。浜町標本だと硬いのでまずは愛称の募集からスタートでしょうか。このイラストを皮切りにゆるキャラやグッズなど新たな展開もあるかもしれません。
昨年末にオープンした「本の森ちゅうおう」の郷土資料館にも「浜町標本」のことが描かれました。足を運ぶ機会があれば探してみてください。
でも、まずは浜町公園前の緑道に来て実際にこの案内パネルを見てくださいね。
※案内パネルは都営新宿線浜町駅のA2出口前に設置されています。
この浜町標本の件。2年前から継続して取材してきました。記事にならなかった部分も含め編集長として一番時間を割いたトピックスです。一個人として一つの形になったことが感慨深いです。これからも動きがあると思いますので引き続き皆さんも注目してみてください。
地域企業・団体に協賛いただいてます
山下信治 (編集長)
中央区民マガジン編集長。その割に中央区に住み始めて10年程度の新参者。BABYMETALとコリドラスが心の拠り所。東京都板橋区出身。