「中央区の百貨店の歴史」12/23(水)まで日本橋図書館で展示中

~ 館長に展示の制作秘話や裏話を聞いてみた ~

2020.11.20
文、撮影:ユキイデ
毎回工夫を凝らし楽しい展示を開催する日本橋図書館。現在「中央区の百貨店の歴史」が7階展示スペースで12/23(水)まで開催されています。無料で誰でも自由に見学が可能です。
高島屋、松屋、松坂屋、白木屋、三越の5つの百貨店の歴史がパネルにまとめられ、参考文献や貴重な資料が所せましと展示されています。
日本橋図書館の藤掛館長から今回の展示で苦労された点や、制作秘話・裏話などをお伺いしました。

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展示資料はなんと300点以上!

まず、資料の豊富さに驚きました。どれぐらいの準備期間を費やしたのですか?相当な労力だったのではないでしょうか?
はい。本当に大変でした(笑)。8月ごろから取り掛かり、10月のギリギリまで各百貨店さんとやり取りをしていました。まず図書館にある文献で下調べを行い、その上で文章を作成したのですが、百貨店さんから何度も修正が入りました。広報の方もとても熱意をもって取り組んでくださいまして、何時間もお話を聞かせていただく事もありました。

資料によっては直接百貨店に足を運ぶことも

各百貨店の歴史がとてもわかりやすくまとめられていますが、制作にあたって一番気を遣ったのはどの部分ですか?
歴史の紹介文です。誤りがあってはいけないので、百貨店さんにしっかりと目を通してもらいました。やはり百貨店さんにとって、歴史が信用でありブランドですから。

白木屋製の「氷冷蔵庫」

白木屋はもう存在していませんが、この「氷冷蔵庫」はどこから借りてきたのですか?他にも貴重な資料がたくさんありますが。
「氷冷蔵庫」や「包装紙」などは明石町の郷土天文館からお借りしたものです。京橋図書館からは「お中元のしおり」や「白木屋の御風呂敷」などをお借りしました。どれもとても貴重な所蔵品なので、太陽の陽が当たらないようにブラインドを閉めています。ショーケースのLED照明もあまり良くないかもしれないので、点灯していません。

年代不明の貴重な資料も

中央区には、銀座と日本橋に日本を代表する老舗の百貨店があります。お互いやはりライバルだと思うのですが、今回の展示でも負けられない!と、力が入っているのではないでしょうか?
そうですね。さっそくご来館いただけた百貨店さん、社内報に載せるとおっしゃってくださった百貨店さんなど、百貨店さんのイメージに近い展示になったと思っています。ひとつの百貨店だけではなく、色んな百貨店の歴史を比較して見ることができる機会はなかなか無いと思います。

高島屋で人気だった「象の髙子ちゃん」

開店当時の松屋銀座店(1925年)

松坂屋の「生きた動物大バーゲン」(1966年)

白木屋大火災の様子(1932年)

関東大震災前の日本橋(1922年)

三越が家電の販売を始めた歴史も

来場者の反響はどうでしょうか?どのような方が来場していますか?
やはりご高齢の方が多い傾向です。立ち止まってじっくり写真を眺めていらっしゃいます。懐かしいと思って見ているのではないでしょうか。ぜひ若い方にも来て欲しいですね。GINZA SIXやコレド日本橋が、以前はどんな姿だったのか知る良い機会だと思います。

参考文献(展示のみで貸出は行っていない)

どの展示もとても素晴らしく、熱意を感じます。これほどまでの展示をたった3ヶ月で準備するのは大変な労力だったと思います。その熱意はどのようにして生まれたのでしょうか?
実はこの展示を担当・制作してくれた者は既に退職してしまっているのですが、展示に対する想いをメッセージで残してくれています。ぜひ想いを汲み取っていただければと思います。

以下、展示「中央区の百貨店の歴史」担当者のメッセージ(一部省略)

私事で恐縮ですが、私の子どもの頃、1970 年代では、百貨店へ行くということは、普段の生活とは違った「非日常」を感じさせるものでした。親は普段とは違うお出かけ用の服を着て、自分たち子どももちょっとおしゃれなお出かけ着を着せられて出かけたものです。
子どもにとって百貨店は、入り口の重厚感のある扉や建物の造り、きらびやかな広告やショウウィンドー、華やかな売場、食堂で何を食べて、屋上では何で遊んで…。 なにもかもが目新しくて、終始ドキドキワクワクな空間で、今でいうテーマパークのようなものだったのだと思います。
子どもに限らず大人も、百貨店の提案する魅力的なライフスタイル、先進的な家電や、おしゃれな洋服、家具などに胸を躍らせて、「いつかは自分もきっと」という思いをもって店を後にしていたのではないかと想像します。
百貨店はまさに流行の発信場所であり、時代の最先端に触れられる場所であり、こうありたいというあこがれが具現化した、そんな場所でした。 今回の展示を通して、昔から今に至る各百貨店の歴史を見て調べて、その時代時代を生き抜いていくために不断の努力を重ね、時々の人々のニーズ、そしてニーズの一歩先を的確にとらえて経営をしていた百貨店の皆さんの想いには尊敬の念しかありません。
今回の展示でお見せしているのは各百貨店の本のごく一部です。もしご興味を持っていただけたなら、各社の社史や史料館などでさらに奥深い百貨店の歴史を知っていただけるものと思います。

展示のなかでも触れられていますが、百貨店は各時代のニーズに合わせて業態や店舗のつくりなどを変化させながら、歴史的難局をいくつも乗り越えてきています。そんな百貨店が、コロナで休業してしまうというのは歴史的な屈辱だったに違いありません。
便利で安価なネット通販が当たり前の時代になり、コロナ禍でもその市場は拡大していると耳にします。対して百貨店は一部を除き赤字という報道がされています。ですが、百貨店はこの便利なネット通販の時代でも「体験」を購入できる大切な存在だと思います。知識が豊富な百貨店の店員さんに相談し、会計を済ませて売り場を離れる時には、店員さんにも「ありがとう」という言葉を言いたい!
銀座・日本橋の百貨店では100年以上「ありがとう」を毎日繰り広げてきた、改めてそう思い知らされる素晴らしい展示でした。

日本橋図書館
住所:中央区日本橋人形町1-1-17 日本橋小学校複合施設6・7階
電話:03-3669-6207
開館時間:月~金曜日 9:00~20:00
    土曜日 9:00~19:00
    日曜日・祝日 9:00~17:00
    休館日…第4木曜日、年末年始
    その他 特別整理・施設保守点検のための臨時休館あり
https://www.library.city.chuo.tokyo.jp/info?2&pid=1638

ユキイデ (編集部)

2006年から日本橋エリアに住み始める。 南大阪生まれの巨漢。デスメタルが大好き。 おばあちゃん子。

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