中央小は鉄砲洲児童公園のすぐ隣。平成24年に完成した校舎はとても近代的ですが、壁面が緑に覆われていて息苦しさを感じません。
~ 阪本小・有馬小が150周年、中央小が30周年。歴史ある中央区の小学校を紹介(3/3回目) ~
中央区立中央小学校
平成5年4月 鉄砲洲小学校と京華小学校が統合され、中央小学校が開校。校舎改修工事のため平成5年8月まで旧京華小学校校舎を使用。平成10年 一輪車発表開始。平成22年 明正小学校校舎に移転。平成24年9月 現在の校舎である中央小学校校舎にて授業開始。令和5年10月28日(土) 開校開園30周年記念式典・祝賀会開催。児童数339名(令和5年5月1日現在)。
中央区立中央幼稚園
平成5年4月 中央区立幼稚園設置条例の一部改正により、鉄砲洲幼稚園と京華幼稚園が廃園の上統合され、中央幼稚園として開園。平成22年 仮園舎(明正小学校)へ移転。平成24年現在の新園舎へ移転。園児数61名(令和5年5月1日現在)。
中央小は鉄砲洲児童公園のすぐ隣。平成24年に完成した校舎はとても近代的ですが、壁面が緑に覆われていて息苦しさを感じません。
1階 歴史資料コーナー
これまで紹介してきた阪本小と有馬小は150周年。中央小は30周年ということで歴史が浅く感じるかもしれませんが、実はそんなことは全然ありません。明治10年開校の鉄砲洲小と、明治34年開校の京華小が統合され、歴史ある2校を引継ぐかたちで中央小が誕生しました。そのアーカイブが1階の歴史資料コーナーで整然と保管・展示されています。左手が鉄砲洲小、右手が京華小と分かれているのが分かりやすくてユニークですね。
校長 山本有子さん(左)、PTA会長 神﨑忠久さん(右)
今回の取材に応じてくれたた山本校長と神﨑PTA会長。30周年記念式典・祝賀会の模様を振り返ってもらいました。
※写真提供:中央小PTA
記念式典には幼稚園のすみれ組と6年生が参加。6年生による「よろこびの言葉」では一言一言気持ちを込め、中央小代表の誇りを感じさせる堂々とした姿を披露してくれたそうです。
居合いの演武 ※写真提供:中央小PTA
神崎PTA会長ご自身も中央小の前身となる鉄砲洲小出身。代々120年以上このエリアに住んでおられるのだとか。
「今回、三代で中央小30周年記念を迎えることができて感無量でした。」
神﨑PTA会長のお父さまは毎週日曜日に中央小を借りて居合いの教室を開いているらしく、30周年記念式典では演武が披露されました。会場がとても厳粛な雰囲気に切り替わり、山本校長を含め多くの方が大変感動したそうです。
30周年の文字の横に一輪車の装飾が
式典のページェントでは、子どもたちによる金管バンド、フラッグ、そして中央小のトレードマークともいえる一輪車が披露されました。山本校長に詳しくお聞きしました。
「中央小では、一輪車活動については30年間ずっと力を入れています。1年生から6年生まで皆で教え合い、全員が乗れるようになります。」
一輪車は他ではあまり聞かないユニークな取り組みです。そもそも、なぜ一輪車なのでしょうか?
「鉄砲洲小と京華小が統合され中央小が生まれたのですが、そうなった背景はこの地域に子どもたちの数が少なくなってしまったということでした。中央小が誕生した時、広い校庭・少ない人数で、皆で力を合わせてできることは何か?と、考えて、始まったのがこの一輪車活動だったと私は理解しています。」
式典のページェントでも披露された一輪車 ※写真提供:中央小PTA
一輪車の話になると、ご自身も楽しそうに語る山本校長。ぜひ見て欲しい!ということで、ページェントの映像を見せてもらいました。
全員が一体となり音楽に合わせて整列したり交差したり。一輪車はどんなに運動神経が良くてもなかなか乗れません。公立の小学生がここまで技を習得し、複雑な動きを披露することに本当に驚きました。
神﨑PTA会長のお子さんも最初は全く乗れなかったそうです。保護者の立場からどのように見ているのか聞いてみました。
「最初はもちろん乗れませんよ。あざを作って練習して。でも、皆で一緒に頑張るからきっと苦じゃなくて楽しいんですよ。夏ぐらいに乗れるようになって、そして冬に発表会があって披露して。そこで皆から拍手をもらうんです。これはとても良い経験で、いわゆる成功体験じゃないかなと思うんです。」
5階 屋上校庭
ちょうど授業が終わり、屋上校庭で有志の一輪車練習が始まるということで見学させてもらいました。全天候型の可動式屋根が開いており、とても心地良い空間です。
校庭の周りには一輪車がズラリ
中央小の一輪車活動は、なんと一人一台制!児童の数が増えてきて、どうするか議題に挙がったことも過去にあったらしいのですが、一人一台制を貫くことにしたのだそう。薄々気付いていたのですが、中央小の一輪車活動は本気です!
練習開始!
皆楽しそうに練習しています。手を繋いで並走したり、目標の距離を決めて進んでみたり、各々のゴールが明確にあるように見えました。
校庭の端には手すりがある専用の練習スペースも
こども達が練習する姿を眺めながら、山本校長はこう語ります。
「一輪車活動は、心と身体に成長をもたらしてくれます。まず、身体の体幹を鍛えてくれます。心の面について言いますと、6年生が1年生を教えるのです。考えてアドバイスし合うので、解決する力も養われます。中にはつまづいてしまう子もいますが、決して一人にさせず皆で手を取り合って教えるので、信頼関係が生まれてきます。それは普段の授業での先生との信頼関係、つまり集中力にも繋がってくると思います。ですので、学力の面でも一輪車活動は良い影響を与えています。」
幼稚園の廊下にも30周年を祝う装飾が
同じ校舎内にある中央幼稚園は小学校と密接な関係にあり、10月7日(土)に「開園30周年記念わくわく親子デー」が開催されたそうです。
幼稚園の廊下には『げんき、ゆうき、やるき、こんき』という文字が。これは園庭に植えられた桜の木の名前で、中央小が開校する時に子どもたちが付けた名前だそうです。
神﨑PTA会長曰く「ちょっと記憶が定かではないですが、当時の鉄砲洲小と京華小からそれぞれ2本ずつ移植されたのだと思います。」とのこと。素敵なエピソードですね。
木のぬくもりがある校舎内
子ども達の装飾も多く美しい校舎ということもあってか、30周年はとても華やかで喜びに満ちた印象を受けました。最後に「未来の中央小に向けてメッセージを」という質問をしてみました。
山本校長「一輪車活動を通してということになるかもしれませんが、『知・徳・体』バランスの取れた子どもたちによる、お互いを信用し合う素晴らしい校風が30年間ずっと続いてきました。30年前と比べて4倍の児童数になっても、これは変わっていません。これからもっと人数が増えようとも、変わらずに学力・心・体力、バランスよく育って欲しいと強く思います。」
『知・徳・体』
山本校長が語っていた『知・徳・体』とは、歴史資料コーナーに展示されている書のこと。これは鉄砲洲小100周年の時に、当時の三木内閣総理大臣から贈られたものだそうです。隣の鉄砲洲児童公園の隅にも、立派な石碑が設置されています。
神﨑PTA会長「私のやるべきことは、『調和』だと思います。共働き家庭が増え、昔と今では社会情勢も変わり、この地域も随分変わりました。鉄砲洲小や京華小のことを知る昔から住む人々と、新しく移り住む人々とのコミュニケーション・調和が重要になってくると思います。それが学校のため、ついては地域のために繋がってくると思います。」
歴史ある中央区の小学校を3回連続で紹介してきましたが、「懐かしい!」と思われた方も多かったのではないでしょうか。一方で、これからお子さまが小学校に入学する予定という方も記事を読んでいただいたのではないでしょうか。中央小の神﨑PTA会長がおっしゃっていたように、古くから住む人と、新しく移り住みはじめた人との交流・調和・コミュニケーションなくして、子どもたちの安全と健やかな成長はないと思います。いつも子どもたちの登下校を見守ってくれているおじいさん・おばあさんは、きっと計り知れない愛情をもって挨拶をしてくれているのだと思います。今回の取材を通して、子どもたちが大きくなり「小学校楽しかったよね。」と、思えるようになるのは、地域の環境がかなり大きな割合を占めているのではないかと思いました。
次のページでは記事に掲載しきれなかった写真をいくつか載せています。
中央区立中央小学校
住所:中央区湊1-4-1
ホームページ
↓ シリーズ2/3回目・有馬小学校150周年 ↓
↓ シリーズ1/3回目阪本小学校150周年 ↓
(1/2):開校開園30周年 中央小学校 ←NOW!
地域企業・団体に協賛いただいてます