コロナ禍の夜、かずさやの前を通りかかった時に見上げると客室の明かりが2、3室しかついていない…そんな時もありました。そうした時でも、支配人の三賀雅仁さんと広報担当リーダーの高橋彩乃さんは快く取材に応じてくれました。今回は工藤社長を含めて、改めて苦難の日々を振り返りつつ、これからのかずさやについてお話を伺いました。
(2/2):工藤社長と最前線に立つ2人にインタビュー ←NOW!
コロナ禍の夜、かずさやの前を通りかかった時に見上げると客室の明かりが2、3室しかついていない…そんな時もありました。そうした時でも、支配人の三賀雅仁さんと広報担当リーダーの高橋彩乃さんは快く取材に応じてくれました。今回は工藤社長を含めて、改めて苦難の日々を振り返りつつ、これからのかずさやについてお話を伺いました。
左から 代表取締役 工藤哲夫さん、支配人 三賀雅仁さん、マーケティングリーダー 高橋彩乃さん
工藤社長
「先日、あるゼネコンの方とお話しする機会があったのですけど、『かずさやさんは良いタイミングでリニューアルしましたね。』と言われました。我々が建替に踏み切ったタイミングでも既に建築資材の高騰が始まっていましたが、コロナを経て今はもっと高騰しています。確かに大変な時期でしたが、建築のコスト面から見ると良かったという見方もありますよね。それに、大変な時っていうのはあんまり周りの事が見えないというか。つまり、歴史というのは渦中にいる時は分からない。5年後10年後振り返ってみたときに『ああいう時代だったね、あれはやって良かったね』という話になるのだと思います。」
ポジティブに振り返る工藤社長
工藤社長
「初代の工藤由郎は長野の養蚕をやっていた田舎の農業青年だったのですけど、27歳の青年が田舎の土地を売って日本橋に進出し旅館を買うわけですよ。相当な決断だったと思います。そこまでした旅館が二度の火事に遭い…その度に立ち直って。」
現存する最古の全景写真(明治32年)
「二代目の時は太平洋戦争が始まり、三井鉱山に旅館を社宅として貸して田舎に疎開しました。三代目は私の父なのですが、木造から鉄筋3階建てにして、それも時代に合わなくなってきたので7階建てのビジネスホテルに変えたのです。そんなふうにそれぞれのご先祖の苦労があったので、『コロナぐらいじゃ弱音吐けねぇな!』というところですね(笑)」
三賀支配人
「そうですね、ご縁あってかずさやに入社したのが2020年の春でした。そうしたらすぐ緊急事態宣言が出て。でも夏ぐらいには収まるんじゃないかっていう話をしていたのですけど、まさかこんなに長く続くとは思わなかったですね。」
「でもそんな中で、かずさやは長い歴史がある分、腰を据えていろんな情報を見極められたのかなと思います。工藤は東京都ホテル旅館生活衛生同業組合の理事長と、JTB協定旅館ホテル連盟の東京支部の支部長を長年務めていました。歴史があるゆえに業界でも地位を確立していたこと、地元企業や取引先からの信用もあったので、それは私もかずさやに入社して感じたことなのですが、そういう部分で営業するにあたり追い風になったと思います。」
かずさやの顔である2人。いつも明るい話題を提供してくれる
高橋さん
「いま三賀が少し触れましたが、地域との繋がりがこんなにあるホテルっていうのは、なかなかないのじゃないかなと思います。私もかずさやに来る前は別のホテルで働いてたのですが、そういった地域に根付いたものっていうのはなかったと今振り返ると思います。やっぱりそうやって歴史とともに築き上げたものが、地域の密着に繋がっているのかなというのはすごく感じます。」
三賀支配人
「レストランの夜の営業を再開するタイミングで、より日本橋らしいものを提供したいと考えて、にんべんさんの鰹節を使った『お江戸出汁しゃぶ』を始めまして、とても好評です。ドリンクも日本橋という名前の付くビールや日本酒を用意しています。
同じ日本橋の老舗であるにんべんの鰹節を使用した「お江戸出汁しゃぶ」
日本橋がより楽しめるビールと日本酒
工藤社長
「海苔もリニューアルする前からずっと山本海苔店(日本橋室町)の海苔ですね。やっぱり同じ日本橋に良い商品があるならそれを使いたいと思っています。」
「私は常盤小を卒業して日本橋に育てられた人間なのですが、日本橋の人から嫌な思いをさせられたことがないんです。だから日本橋で連携できるものは連携したいという気持ちはずっとありますね。」
朝食には山本海苔店の海苔が添えられている
工藤社長
「コロナ前から東京都の観光部と海外に向けていろいろ調査やアンケートを行ったのですけど、実は日本橋はあまり知られていなくて。宿泊場所のニーズは圧倒的に新宿の人気が高いのです。日本橋はというと、知名度は多少あるのですが、観光の面で浅草のように視覚的に訴えるものが少ないのかもしれません。」
「銀座なんかはいま外国人のお客様がほとんどでしょうね。8~9割ぐらいはそうじゃないでしょうか?かずさやでの外国人のお客様の割合は、全体の4割ぐらいですね。」
三賀支配人
「(外国人のお客様は)多い時で6割ぐらいですね。それでも私はちょっと意外に感じます。もっと多く来るのかと思っていました。お仕事などで日本橋に来られる方や、地元の方々が気に入ってくれて何度も利用してくれているのだと思います。」
インバウンドについて語る工藤社長
工藤社長
「こんな言い方すると誤解を招くかも知れませんが、銀座のホテルは知名度が高いのでどんどん外国人のお客様が入ってきます。未だに宿泊料金をどんどん値上げしていても、です。だから外国人だけで商売ができるところは心配ないわけですよ。私達みたいに昔からのお客様も多いところは、値上げはできますが、値上げし過ぎたら皆様が付いて来れなくなるのではないか…それがちょっと心配な部分でもあるんですよ。やはり日本橋という地域を考えると、地元というか従来のお客様のことも意識しながらやっていかないと成り立たない。そう思っています。」
フロントでの接客対応もとても気持ちが良い
工藤社長
「そうですね、日本橋は生れ育った場所ですし、日本橋のためならなんでもしよう!と思いますね(笑)。」
「かずさやはリニューアル3周年ということで、いろいろな企画を用意しています。8月31日までの期間限定でとてもお得な特別な宿泊プランも用意しています。気軽に利用してもらって、こういうホテルがあるんだよっていうことを近隣の方々にまずは知ってもらいたいですね。」
「箸」のノベルティも用意
三賀支配人・高橋さん
「かずさやよりお客様へ心の『橋渡し』をしたいという思いを込めて『箸』のノベルティもご用意しています。ジェンダーレスで使えるお肌に優しいスキンケアセット、朝食付きのお得なプランです。ゆっくりリラックスできますので、近隣にお住まいの方で仕事・家事・子育てに疲れた奥さま方にもぜひ利用していただきたいです!」
広報担当の高橋さんは「日本橋は憧れの場所」であるということをを語ってくれました。その一方で「近隣のお店とタイアップして、皆さまのお力を借りて良いものを作っていきたい、サービスを提供したい…と勝手に思ってます!」とも、笑いながら語りました。その言葉に三賀支配人は「社長はNOって言わないんですよ。」と、続けました。さりげない会話でしたが、その中にかずさやがこれまで、そしてこれから挑戦し続ける姿勢が見えたような気がしました。老舗の品格・威厳を纏いながらも新しい道を切り拓くかずさや。客室でリラックスして耳を澄ませば、もしかするとまだ「時の鐘」の音が聞こえるかもしれません。その音色は、日本橋の人々を昔も今も前向きな気持ちにさせる行進曲なのかもしれません。
ホテルかずさや
住所 中央区日本橋本町4-7-15
電話 03-3241-1045
公式ホームページ(宿泊予約・問い合わせはこちら)
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