ロケ地を探して途方に暮れていたところ、中学の同級生から一本の電話が。
~ きっかけは同級生。『おむすびとせかいのごはん&SOHO30』 ~
(2/2):中央区をロケ地に選んだ理由 ←NOW!
ロケ地を探して途方に暮れていたところ、中学の同級生から一本の電話が。
「馬喰横山駅近くのお店の宣伝を担当しているんだけど、貸してもらえるかも。一度遊びに来ない?」
そこは本編にも登場する 「おむすびとせかいのごはん」 というお店でした。
「おむすびとせかいのごはん」での劇中カット
お店は日本橋富沢町にあるのですが、建物全体が 「SOHO30」 という施設になっていて、オフィス兼住居になっているとのこと。
早速見学させてもらうと、ホテルのようなお部屋がいくつもあり、共有スペースとして、ミーティングルームやトレーニングルーム、大きなキッチンスペースまで。ここに住みながら仕事もシームレスに行える、贅沢な空間になっていました。
見学させてもらったその日に「好きに使ってください!」と、心強い言葉をいただき(そしてなんと太っ腹なことでしょう)映画の準備から撮影までの期間、特別に貸し出していただけました。
劇中の設定が東京だったので、当初は分かりやすい街、新宿や渋谷あたりを想定していました。
ですが実際に中央区を回ってみると、有名な商業施設や高層マンションが並ぶリッチな街並みと、下町感が残るエリアが絶妙なバランスで融合していることを感じます。
これまであまり訪れることがなかったエリアですが、知れば知るほど面白いところだなぁと、三澤監督とあちこち巡りながら話し合いを重ね、主な撮影エリアを中央区に絞ることにしました。
日本橋堀留町でのシーン
「おむすびとせかいのごはん」の店前にあるレンタルサイクルには本当に助けられました。
下見に行ったり、撮影当日の車両のルートを確認したり…
僕、準備から撮影までずっと自転車漕いでいますね(笑)
撮影当時を振り返ってみようと、この場所を紹介してくれた同級生・小山由佳さんと「おむすびとせかいのごはん」で、ランチをしてきました。
「って、え!?」
久しぶりに訪れてみると、自転車からキックボードに変わっています。
あの頃お世話になった自転車たちは、どこへ行ったのでしょうか…
小山さんは普段、スイス航空のCAとして活躍しています。
当時は飛行機が運休していたので、小山さんの仕事もお休みに。
その間、PR会社のお手伝いをしていたようで「おむすびとせかいのごはん」「SOHO30」の宣伝活動に参加していました。
僕が映画作りの準備をしていることを知り、何か手伝えることがあればと、こちらの施設を紹介してくれたのでした。
同級生の小山由佳さん
小山さんは映画の最後に「アシスタントプロデューサー」としてクレジットされています。
文字通り、プロデューサーの補佐であります。
急ぎの連絡ごと、資料のまとめ、撮影中の色々なケアなど、僕が見落としていることをなんでも手伝ってくれました。
撮影場所を紹介してくれるだけでは終わらなかったのです。
一体どうしてこんなことになったのか、僕も小山さんも全く記憶がありません。
中学時代から優しさ100%の小山さん。
きっと「大丈夫?これだけやってあげようか?」から「いいよ、それやってあげる」になり…
その優しさに、僕がどんどん甘えていったことが原因かと思われます。
この人なくしてキャンセル兄ちゃんは語れません。
小山さん、本当にありがとう。(一生お礼言い続ける)
そんな小山さんの思い出のシーンは、朝、陸と恋人の佳菜子が話している場面だそう。
劇中に登場する朝食は、なんと小山さんの手作り。
一つのシーン作り上げるのに、別の角度から何度も繰り返し撮影するので、いつでも出来立てを準備できるよう、大量に用意してくれていました。
「キエモノ」という業界用語を覚えたことで、自分も撮影スタッフの一員になりきれたそうです。
小山さんにとって初めての撮影現場だったのに「次の撮影の仕事頼んでいい?」とみんなからオファーを受けていたよね(笑)
この映画が完成してから色々なところで「キャンセル兄ちゃん、プロデューサーの長村さんです!」とご紹介いただきますが、僕はただの言い出しっぺで、裏ではそんな心強い仲間たちが支えてくれていました。
もちろん俳優活動の中でも多くの場面でそれを感じますが、こんなに強い実感として残るのは初めてです。
今後の自分にとって、すごく貴重で贅沢な体験になりました。
もうすぐ準備を始めてから丸一年が経ちます。
一年前に「きっと大丈夫!」と自分にエールを送ってくれた作品が、12月の銀座の上映では「よくぞ乗り越えられました!」「あの頃は大変だったよな~」という、温かな笑いに変わっていることを願っています。
作り上げた仲間たちとはもちろん、映画をご覧いただいたみなさんとそんな一日を過ごせること
を、今から楽しみにしています。
さて、次回は劇中で重要な場面の舞台となった 「プラナバルカ」 で、思い出を振り返っていきたいと思います。
最新情報はInstagramからご覧いただけます。
ぜひ今後の動きにご注目ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
(2/2):中央区をロケ地に選んだ理由 ←NOW!
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長村航希 (区民ライター)
2003年に劇団四季『ライオンキング』ヤングシンバ役でデビュー。代表作に『ゆとりですがなにか』『詐欺の子』などがある。2023年には新国立劇場「エンジェルス・イン・アメリカ」への出演が決定している。