中央区民マガジン

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創業120年!「三丁目の夕日」にも登場の老舗で和紙染め体験

2019.11.16
文:山下信治、撮影:ユキイデ
「ALWAYS 三丁目の夕日」(の背景)にも登場する「みやこ染」でおなじみ桂屋ファイングッズで「和紙染め」が体験できるということで幼稚園児を連れて編集部が突撃しました。
  • 幼稚園児も夢中。誰でもアーティストになれる体験
  • 「ALWAYS 三丁目の夕日」にも登場したヒット商品
  • ハンドメイドやコスプレ需要から人気が再燃

今回スポットをあてるのは「みやこ染」で有名な1890年(明治23年)創業の染料メーカー、日本橋小舟町の桂屋ファイングッズ株式会社(以降、桂屋ファイングッズ)です。

さっそく訪問しました

桂屋ファイングッズは日本橋堀留町にある堀留児童公園に隣接するビルにオフィスがあります(オフィスの住所は日本橋小舟町)。入り口前に立て看板があるだけの地味な外観。

ビルの5階に桂屋ファイングッズのショールーム及び体験スペース「somenova(そめのば)」(以降、somenova)があります。外観からは想像できない素敵なショールームが広がります。商品だけでなく、商品を使用したアーティストの作品や長い歴史を物語る看板や写真が展示されています。

和紙の手染め体験してみた

取材前に幼稚園児に「和紙の手染めキット」を体験させたい旨を相談すると、「大人向けの商品なのでお子様には別の体験を準備します」との返答。「和紙の手染めキット」はママ達に体験してもらうことになりました。

今回お手伝いしてもらったのは、近くの幼稚園に通う5歳児、R君とCちゃんとそのママ達。さっそく体験をスタート。しかしやはり予想通りの展開に。

本来、大人に体験してもらうはずだった「和紙の手染めキット」を全て幼稚園児が使ってしまいました。当初の想定とは逆にママ達がお手伝いするかたちになるも、somenovaスタッフの方は笑顔で丁寧に教えてくれました。

ふだんは公園で走り回る子ども達。だけど今日はアーティスト気分。
和紙が染まっていく様子を不思議そうに眺めて、集中力が途切れることなく体験を楽しみました。

R君「いろがひろがってたのしかった。」
Cちゃん「きれいだった。またやりたい!」

「SOMENOVA(そめのば)」は染め方教室や体験教室だけでなく、持ち込みで染色ができるスペースとして時間レンタルも行っています。未経験者から本格的な染色まで幅広く使える空間です。
https://somenova.amebaownd.com/

社長にインタビューしました

子ども達が体験をしている間に桂屋ファイングッズの歴史や「みやこ染」についてお話を伺いました。(インタビュアー 高村保裕)

社長の青山伸一さん

1890年(明治23年)創業ということですが、ずっと日本橋小舟町で商売されているのですか?
多少の移動はありますがずっと日本橋小舟町です。
この一帯は古くは化学薬品・薬問屋の街で、北側には紺屋町(千代田区)という染め職人の街もありました。その名残で今もこの周りに製薬会社や薬品会社がたくさんあるんです。
隣の保育園に子どもを毎日送り迎えしてますが、全く存じ上げておりませんで…
看板もないですからね。
弊社の創業は洋装が一般にも普及した頃で、着物に加えて背広などの洋服の染め替えの需要も増えた時期です。家庭向けの「みやこ染」という商品がヒットしたのが弊社の始まりです。

映画のワンカットと企画開発部の福島さん

ALWAYS(※)にも大きく看板が使われてますね。 ※「ALWAYS 三丁目の夕日'64」(2012年)
そうなんですよ。他にもまだ首都高がなかった頃の日本橋の場面でも弊社の看板が出ています。
その看板は我々も映画を見るまで存在を知らなかったんですよ。
では大繁盛だったんですね
おかげさまで。小学校の家庭科でも「みやこ染」を使って染物の授業をしていたほどで、認知度は非常に高かったと思います。
とはいえ着物を着る人も減りましたし、ましてや染め直しをする人はほとんどいなくなりました。ファストファッションをはじめ既製品を買う方が早くて安い時代になりました。
手染めをするために染料を買うという習慣はほぼなくなってしまいました。
我々の世代では見かけませんね。では経営も大変ですか?
大変な時期もありましたが、最近洋服のハンドメイドが流行っていて、オリジナル、オンリーワンを自分で作って持つという需要が新たに生まれてきています。
SNSで作品をアップしたりと流行っているみたいですね。
ハンドメイド専門のコミュニティサイトも盛んです。
あとはコスプレ関係です。コスプレイヤーで衣装を自作する方は色合いにこだわる方が多く、布から染める人もたくさんいます。有名コスプレイヤーのSNSからバズることもあります。
弊社もそういった新しい需要に応えるよう努力しています。実際に売上も上がって来ました。
体験スペースとして「somenova」を作ったのも2017年でちょうど良い流れだったんです。

twitterでハッシュタグ「みやこ染」で検索してみてください。面白いですよ。
https://twitter.com/search?q=%E3%81%BF%E3%82%84%E3%81%93%E6%9F%93

「somenova(そめのば)」

「somenova」はどんな方が使われるんですか?
本当に老若男女問わずです。
小さいお子様が体験参加することもあれば、若い女性がスペースを借りてコスプレ衣装の染色をされたりと様々です。
男性でご利用される方も増えてきました。
今回の取材のきっかけでもある小津和紙さんとのコラボ、「和紙の手染めキット」ですが、キッカケは何だったんですか?
場所が近いので…もともと小津和紙さんとは仲良くさせていただいたいて、前々から何か一緒にやろうねとは話していました。今回ようやく実現できたので非常に嬉しいです。

「和紙の手染めキット」

商品開発で苦労した点はありますか。
今回の商品は一枚の和紙からポチ袋がつくれることが目玉なんですが、ポチ袋に適した和紙と染料のマッチングがなかなか難しかったですね。
今後の展開は何か考えていますか。
小津和紙さんは和紙漉きのワークショップをやってらっしゃるので、その和紙を使って紙染めするみたいなコラボをやってみたいですね。
近いので小津和紙さんから「somenova」みたいなツアーを組めたら楽しいですね。
中央区・日本橋という中で伝統的な企業が沢山あるのでいろいろコラボに挑戦してみたいです。
本日はご協力いただきありがとうございました。

桂屋ファイングッズ株式会社
https://www.katsuraya-fg.com/
中央区日本橋小舟町14-7
03-3662-5611
「和紙の手染めキット」はオンラインショップでも購入できるとのことです。
https://www.katsuraya-fg.com/product/?pca=18#list

編集後記

実はインタビュアーの高村は毎朝桂屋ファイングッズの前を通っていたとのことですが全く存在を知りませんでした。来年で創業130年になる老舗なのにひっそりたたずむ隠れ家感。一方でWebサイトやSNSの存在感。ギャップに心魅かれてアポイントを取らせていただきました。
歴史を大切にしつつ新たな挑戦を続けていく素敵な企業でした。
取材へのご協力ありがとうございました。

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山下信治 (編集長)

中央区民マガジン編集長。その割に中央区に住み始めて10年程度の新参者。BABYMETALとコリドラスが心の拠り所。東京都板橋区出身。

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