昨年末に当マガジンでもお伝えした「銀座もの繋ぎプロジェクト」。2021年からは宮本亞門さんが加わり「もの」から「ひと」にパワーアップした「ひと繋ぎ」プロジェクトが進行中です。銀座にゆかりのある著名人や、銀座の街の最前線で活躍する人々が、街への想いとエールを互いに送り合い、動画をSNSで発信。大変光栄なことに編集部ユキイデにもお声がかかり、コロナで苦しい状況が続く銀座の街へのエールを力一杯語らせていただきました。今回はひと繋ぎプロジェクトのダイジェストムービーと、プロジェクトに同行した裏話、そして木挽町よしやの魅力をお伝えします。
ひと繋ぎプロジェクト 40人のダイジェストムービー
2/13、YouTubeでダイジェストムービーが公開されました。宮本亞門さんから始まり、大竹しのぶさん、ロバート・キャンベルさん、河瀨直美さん、片岡愛之助さん・・・などなど、挙げるとキリが無い超豪華な顔ぶれ。全銀座会の松澤芳邦さんや、鮨よしたけの吉武正博さん、銀座百点編集長の田辺夕子さんなど、銀座の最前線で活躍されている方々の顔ぶれもそうそうたる面子です。
そして手前味噌ながら、この動画をユキイデが編集・制作させていただきました。
宮本亞門さん直々にアドバイス・ご指導いただき、編集を行いました。
「銀座の街は大丈夫でしょ?と言う人が多い。でも銀座も今、他の街と同じように大変な時期。これを機に縦を、横に繋げていければと思う!」という熱い言葉に涙が出そうになりました。
せひみなさんご視聴ください。
Clubhouseで銀座のお店を紹介し銀座MAPも
今話題の新しいSNS、音声主体の招待制・会員制交流のClubhouseで、斉藤大地さんと宮本亞門さんがモデレーターとなり、毎週日曜日の21時に定期配信中です。
プロジェクトに参加した豪華なゲストを呼び、銀座の街について語るという、とても興味深い試みです。また、話題に上がったお店・スポットのマップ化も進行中です。
Clubhouse配信のスケジュールと銀座MAPは以下の通りです。
ひと繋ぎプロジェクトに同行した裏話
開店前のミキモト銀座4丁目本店で撮影準備をする斉藤大地さん
今回ユキイデは、プロジェクトの発起人、斉藤大地さんと数件の撮影現場へ同行しました。その中からミキモト銀座4丁目本店、ハイアット セントリック 銀座 東京での撮影現場の様子と裏話をお伝えします。
(株)ミキモト 入江陽介さん
ミキモトといえば美しいディスプレイ、クリスマスツリーをイメージする人が多いはず。なんとミキモトには「営業企画部ディスプレイ課」という専門部署があるのです。そのディスプレイ課長である入江陽介さんは、撮影の中でこう語りました。
「創業者の御木本幸吉は『銀座の灯を1日たりとも消してはならない』というメッセージを我々に残しました。過去の関東大震災や空襲の際には、その言葉を唱えてアクションを起こしてきました。現在の緊急事態宣言下でも、我々はウィンドウディスプレイの灯りを消さない、ということを敢えて選択しました。」
自社のためではなく、銀座の街のためにアクションを起こす姿勢には本当に感動です。そしてディスプレイには街を明るく元気にする魔法のようなものがあるんだなぁと改めて感じました。
ハイアット セントリック 銀座 東京 総支配人 内山渡教さん
ハイアット セントリック 銀座 東京は緊急事態宣言発令に伴い、現在は一時的に全館クローズ(2月末日まで)していて、ゲストのいない館内はひっそりとしていましたが、内山総支配人やマーケティング担当の方達は明るい表情で、終始笑顔が溢れる和気あいあいとしたムードでした。銀座の寂しい状況が話題に上がったのですが、内山総支配人のユーモア溢れるトークのおかげで、ネガティブな空気にならず、皆で上を向いて歩こう!という雰囲気に。そして内山総支配人は、まさにひと繋ぎプロジェクトのパワーを感じる言葉をカメラに向かって語りました。
「銀座は本当に素敵な街です。ホテルを開業する前と後ではイメージが180度変わりました。特に人ですね。人が素敵です。この街でこんな仕事をさせてもらえることに幸せを感じています。」
プロジェクトの起点「木挽町よしや」
3人入ればいっぱいの店内
木挽町よしやは1922年創業の歴史ある和菓子屋。しっとりとした生地に甘さ控えめのあんがぎっしりのどら焼きが有名。この店の三代目である斉藤大地さんが昨年からプロジェクトをスタート。朝早くからどら焼きを焼いたり、出荷の準備をしたり、お客さんの対応をします。それだけでも大変な忙しさだと推測できるのですが、プロジェクトを同時進行させ、その苦労を微塵も見せず銀座の街を駆け巡ります。
店主の中村良章さん
中村さんはコロナの影響をこう語る。
「コロナで宴会やパーティーの大きな需要が無くなり厳しい日が続いている。大変な時期だけど、ありがたいことにうちの店は、この焼印で多くのお客様と繋がっている。」
木挽町よしやではお客さんの希望するオリジナルの焼印が16,000円~20,000円で製作できる。
絵や文字の線が太いと焦げやすい。細い方が焦げないので美味しく仕上がる、と中村さんはアドバイスする。
まるで博物館。ズラリと焼印が並ぶ
企業や著名人以外にも、一般の方は子どもが産まれた時のお祝いなどに焼印を製作する。それがなんと約6000個も有るという。
「コロナのせいでしょうか。注文が来ないお客さんが心配です。」
たくさん並ぶ焼印を眺め、斉藤大地さんは眉をしかめる。お客さんのリピート頻度を把握しているからこそ、コロナの影響が分かるのかもしれない。この「感覚」は長年お店を維持してきたスキルであり、だからこそ、プロジェクトで会う人々に「最近の銀座の状況はどうですか?」と必ず聞いて、ローカルでリアルな情報を得ているのだろう。
歌舞伎座路地裏に佇むお店
東京都による「東京おみやげ」にどら焼きが選ばれる木挽町よしや。名店であることに間違いないのですが、本当にそれだけなのか?ひと繋ぎプロジェクトのダイジェストムービーの冒頭部分、斉藤大地さんのカットをお店の前で撮影をした時、常連のお客さんがふらりと現れ井戸端会議をしていく姿を見てハッとしました。
決して目立つ場所にお店があるわけでも無いのに、吸い寄せられるようにお店に入り、お店の人と会話を楽しみどら焼きを買って行く。
どら焼きが十分魅力的なのですが、木挽町の路地裏、お店の空間、そして人に会いに来ているのでは?と感じました。
お店の前ふたりで記念撮影
店名に「木挽町」という旧地名が入り、下町情緒が生き続け、人と人の「想い」がしっかりと繋がっているお店。それが木挽町よしやの魅力だと思いました。
焼印が6000個も有り、お客さんの動きを把握し、人と人の繋がりを大切にしてきたお店だからこそ、もの・ひと繋ぎプロジェクトのスタートはごく自然な流れだったのかもしれません。
銀座といえば日本で最大の繁華街。誰もが知るブランド店や有名企業ではなく、その街の繁栄を地道に支え続けてきた小さな和菓子屋が、繋がることの大切さ改めて発信し「想い」を見えるかたちにしていく。大きな輪になり、エールを送り合いさらに街の魅力が増す。斉藤大地さんによると、松屋銀座の協力で浅草でもプロジェクトが立ち上がったとのだとか。ひと繋ぎプロジェクトは銀座だけでなく、日本中の街をピンチをチャンスに変えるものになるのかもしれません。