人形町の交差点から少し中に入ったビル。この地下一階に「人形町 喜見」はオープンしました。階段を降りると真正面に重厚なドアがお出迎えです。
~ ふぐ料理の概念を変える驚愕の「とらふぐ」フルコース ~
人形町の交差点から少し中に入ったビル。この地下一階に「人形町 喜見」はオープンしました。階段を降りると真正面に重厚なドアがお出迎えです。
中に入るとふぐ料理店には珍しい佇まい。客席はキッチンを囲むカウンター8席のみ。てっさ、てっちりという定番にとらわれず、とらふぐをメインの食材とした料理をライブキッチンで楽しむお店です。
店内写真(店舗提供)
「人形町 喜見」は「大阪とらふぐの会」というグループの新店舗。今までは会員制店舗のみの展開でしたが、「人形町 喜見」は一般の方も利用可能という同社初の試みとのことです。
今回の試食会はお客さんに提供するメニューをそのまま頂くスタイル。
メニューは「極上の天然とらふぐコース」40,000円(税、サ込)のみ。季節やふぐの状態に応じた約20品の料理が並ぶフルコースです。
目でも楽しむライブキッチン
最高級の5-Sランクの生きたとらふぐを提供直前に締め、ピチピチブリブリの状態で提供するのが「大阪とらふぐの会」スタイル。
まず最初に捌きたてのとらふぐを見せてもらいます。ご存知の通り、とらふぐは猛毒の魚。厨房奥で締めて可食部位に解体してからライブキッチンに登場します。
70cmオーバーの個体なので迫力が!
キュートな絵で部位の名称が
この絵の中で「黒うぐいす」「のど」等は独自のネーミングだとのこと。「人形町 喜見」のモットーは「とらふぐそのものを楽しむ」。部位ごとに色々な調理をします。普通はてっさ(ふぐ鍋)などで一緒にしてしまうのでここまで分類しないのだそうです。
後のレポートを見ればわかりますが、ふぐ以外の食材はあまり出てきません。登場しても脇役です。今日使ったとらふぐの量はなんと一人当たり約1キロ。骨等を除けば正味600グラムほどです。文字通り「とらふぐ尽くし」です。
目立った食材はこの松茸くらい?
ではさっそくレポート開始。全部はとても紹介できないので、コースの中から印象に残った料理を紹介します。それ以外の料理の一部も記事の最後に画像を置いておきます。
のぞきむこう ブツ
上身をぶつ切りにしたものを特製ポン酢で。ふぐはてっさ(薄造り)で分かるように非常に実が締まっています。ましてやぶつ切りなど考えられませんが、丁寧に隠し包丁を入れることで驚愕の歯ごたえと旨味が両立した一品に。
言及はありませんでしたが、締めたてで死後硬直が始まっていない事も大きいのかと思います。寝かした方が一般的に旨味は増えますが、歯応えと旨味はトレードオフ。とらふぐはこの状態が合っているのかもしれません。この日、一番驚いたのがこの一皿でした。
スペシャリテ 焼きふぐ
「人形町 喜見」もとい「大阪とらふぐの会」の代名詞、焼きふぐ。各部位を洋風やエスニックなど壁を作らず色々な味付けで。焼きなのに瑞々しい。ふぐを寝かさず捌きたてにこだわるのは焼きにすると明確に差が出るからとのことでした。
正直、てっちりより数倍美味しい…。ふぐの一番美味しい食べ方だと思いました。
山北だししゃぶしゃぶ
最高級の鰹節を山ほど使って取った出汁でしゃぶしゃぶに。味の説明は野暮。ただ一言、
「一切れじゃ足りん」
他にも定番のてっさやてっちり、白子も絶品でしたがこの3つが強く印象に残りました。
お品書き上は20品(実際は22品だったと思います)。約3.5時間の試食会でした。通常は2.5時間ほどで提供されるとのことです。今回、時間がオーバーした原因はほぼ「大阪とらふぐの会」社長の澤原さんのトークです(笑
料理長の小髙さんのふぐ愛に溢れた解説と一緒にいただく「とらふぐ料理」はまさに未知の体験。もっとたくさんの仕掛けや豆知識はありましたがあえて伏せます。実際に体験してみてください。
4万円のコースということで気軽に利用できる価格帯ではありませんが、大阪のふぐ文化を一段階も二段階も昇華させた新しいスタイルのふぐ料理。
お店の雰囲気と「ふく」の縁起もあいまって特別な日にお勧めです。
澤原社長(右)と小髙料理長
今回は社長がいたので熱いふぐトークを聞くことができました。アメリカのふぐの話や会員制の経緯などは必聴です。尚、ググれば出てくるあの事件もタブーではないそうなので、直接聞いてみてください。
(1/2):「人形町 喜見」 最高級とらふぐの専門店が人形町にオープン←NOW!
地域企業・団体に協賛いただいてます
山下信治 (編集長)
中央区民マガジン編集長。その割に中央区に住み始めて10年程度の新参者。BABYMETALとコリドラスが心の拠り所。東京都板橋区出身。