【中央区 和みの散歩】「八丁堀 伊勢屋」の茶饅頭(八丁堀)

~ 時代劇好きにはたまらない?温かい家族が紡ぐ、八丁堀の味 ~

2022.08.12
文、撮影:柳谷 ナオ
和菓子大好き区民ライター、ナオです!

「八丁堀と聞いて何を思い浮かべる?」と、同年代の友人達に聞いたところ、「某夢と魔法の国を結ぶJR京葉線の駅」、「オフィス街」という答えが多く返ってきました。
確かにその通りですが、歴史&読書好きの私にとっては欠かせない場所が八丁堀!
今回は、十手の焼き印が目印の「八丁堀 伊勢屋」さんの「茶饅頭」をご紹介します!

「八丁堀 伊勢屋」さんは、明治40年(1907年)、現在の3代目ご当主・池田信義さんのおじいさまが創業なさいました。当時は八丁堀だけではなく築地の小田原町(現在の表記は築地6,7丁目)にもお店を構えていたそうです。

当時の八丁堀は今よりも民家や八百屋さんなどの小売店や会社、特に紙や製本関係の企業が多く軒を連ねていたということでした。しかし、バブル崩壊後徐々に企業は閉業や移転。現在は以前の名残を残しつつも、オフィスビルのほか単身世帯やディンクス向け中心のマンションが建ち並ぶ街へと変化しました。

実は「八丁堀 伊勢屋」さん、「豆大福」がとても有名で、旅番組や雑誌、SNSでもたびたび取り上げられるほどの人気商品なんです。私も頂きましたが、これは万人受けする豆大福だと思いました。

豆大福(150円)

しかし!!個人的に、もっともーっと皆さんに知っていただきたい銘菓があるんです!それが、今回ご紹介する「茶饅頭」です!

茶饅頭(140円)

艶やかでやや腰高なフォルム、そして何より「八丁堀と十手」の焼き印が印象的ですね!

そのままぱくっと食べても勿論良いのですが、ぜひ一度半分に割ってみてください。ぎっしり詰まったこしあんと、バランスの取れたふわっとした皮のコントラスト。なんとも端正な断面。

一度黒糖と蒸かされた小麦の皮の香りを堪能してから、いただきます。

黒糖の甘さだけではなく、まろやかな独特の芳しさが一味違います。甘さが強いのではなく、黒糖の旨味が強いんです。初めて食べた時の衝撃といったら!

舌触りの良い上質なこしあんを包み込む黒糖の豊かさの秘密、それは皮の作り方だそうです。
通常黒糖饅頭は、黒砂糖をお湯などで溶いてペースト状にしたあと、粉類と混ぜ合わせます。

しかし、こちらの茶饅頭は「黒砂糖の一部を一度カラメルソースの様にしてから」混ぜ合せるとのこと。全てカラメルにしてしまうと苦味が強くなりますが、秘伝の絶妙な塩梅で調整されいるからこそ、黒糖の香りと旨味が引き上げられた逸品になるのでしょう。

さて、先ほどから度々触れている「時代劇や十手」というワード。それにはこんな由来があります。

八丁堀はかつて町奉行所(警察)直属の臣下「与力」と「同心」の屋敷や官舎(社宅)が建ち並ぶエリアでした。所説ありますが、与力は会社でいうところの部長~課長、同心はその下といったところでしょうか。刀を二本と十手を差した武士を思い浮かべてみてください。

八丁堀の旦那と呼ばれた与力・同心の方々が住んでいたということに因み、当初は焼き印が無かった茶饅頭に現在当主の信義さんが、こちらの焼き印を入れるようになったとのこと。

今でもお土産やお取引先のお持たせとして、まとめて購入なさる方が多いそうです。美味しさだけではなく、一目見ただけで八丁堀の印象が頭に焼き付きますね!

看板女将・幸世さん

女将の幸世さんは、40年程前に嫁いでいらしたとのこと。それまでは和菓子とは全く関係のない建築関係のお仕事だったそうです。

女将の池田幸世さん

娘・明世さんをはじめとするお子さんが生まれたあとは子育てに専念。4年ほどのブランクを経て、お店に復帰。

お店の名物は美味しい和菓子のほか、手頃な価格ながらもボリュームたっぷりのお弁当や美味しい稲荷寿司も人気!お弁当を始めたのは2代目の奥様からだそうで、料理好きだった幸世さんも最初は稲荷寿司などから習い、そこからどんどん腕前を発揮なさっていったそう。600円前後で栄養バランスも考えられたお弁当は、働く人たちの心強い味方ですね!

一緒に店先に立っていらっしゃる明世さんも、母である幸世さんから教わり、学生の頃から部活をしつつお店を手伝っていたとのこと。

現在は、この日すでにお休みなさっていたご当主の信義さん(あんこからなにから全て手作りのため、昼夜逆転の生活とのこと)と、14、5年勤めていらっしゃる職人の陳さんと4人でお店を切り盛りされています。

「いろんなことがあったからね。とにかく健康第一!」

朗らかな笑顔でお話ししてくださった幸世さん。
取材中も、ご近所の方がふらりと立ち寄ってお弁当とお団子を購入したり、汗を拭きながら「暑いねー!」と入ってきた近隣にお勤めの方が、職場への差し入れに季節ならではの冷たいお菓子を購入したりと、大盛況でした。

ふらりと立ち寄りたくなる街の和菓子屋さん。それは、一朝一夕では醸し出すことのできないローカルな魅力が詰まった温かい場所。
家族や地域の人たちの健やかな日々に寄り添いながら、今日も「八丁堀 伊勢屋」さんは、すずらん通りのオアシスのように佇んでいます。

八丁堀 伊勢屋
東京都中央区八丁堀3丁目18-11
月~金 8時~18時30分(商品が揃うのは9時頃)
定休日 土日祝
JR京葉線・東京メトロ日比谷線「八丁堀」駅 A3口より徒歩2分

柳谷 ナオ (区民ライター)

甘いものがなくちゃ始まらない! 中央区と和菓子とあんこが大好きな1児の母。 老舗から新参店まで、色んな和菓子と触れ合いたい。 好きな言葉は「あんこ」「もちもち」

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