中央区民マガジン

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【中央区 和みの散歩】「ニコニコ 喜久乃家」の葛さくらとアイス最中(月島三丁目)

~ 変わりゆく街の変わらない味 ふらりと立ち寄りたい下町の和菓子屋さん ~

2022.06.13
文、撮影:柳谷 ナオ
和菓子大好き区民ライター、ナオです!
中央区内在住の方のみならず、都内もしくは他県の皆さんも一度は耳にしたことがあるであろう月島。もんじゃ焼きでもお馴染みの街ですね。そんな観光地とも呼べる月島には、もんじゃ焼きのあとのお口直しやお土産にもぴったりなお店があるのをご存知でしたか?
今回は、「ニコニコ喜久乃家」さんの「葛さくら(1個195円)とアイス最中(175円)をご紹介します!

※店名の喜は㐂(七が三つ)ですが記事内では喜で表記します

ニコニコ喜久乃家さんは、西仲通りと清澄通りの丁度間にある道にお店を構えていらしゃいます。西仲通り、清澄通りというといまいちピンとこない方もいらっしゃるかと思いますが、
西仲通り=もんじゃ焼き屋さんが建ち並ぶ一本道、
清澄通り=都営バスが通る大通り、です。
観光でいらした方はなかなか見落としがちなニコニコ喜久乃家さん前の道も、良い雰囲気のお店が揃っているんですよ~!

ニコニコ喜久乃家さんの歴史は、遡ること昭和初期。現在当主、三代目の若林義一さんの祖父が創業。その頃は西仲通りで食堂を兼ねたお店を営んでいましたが、マンション建築のための区画整理により、10年ほど前に現在の場所へ移転。
移転後も近隣住民の方で賑う人気店です。

葛さくら

ショーケースには、まめ大福やくし団子、柏餅といった和菓子から、いなりずしや太巻き、お赤飯といったお昼や夕食にもぴったりなお食事系まで勢ぞろい。しかもなんと!ほとんどが100円代というお手頃価格!近くの公園で子供と遊んだ後、太巻きやいなりずしを購入して帰るも良し。休憩時間のおやつにお団子を買うも良しですね。

今回は季節の和菓子「葛さくら」と、これからの季節にぴったりな「アイス最中」をいただきました。

手のりサイズのほどい良い大きさの葛さくら。ぷるるん、と瑞々しい煌きからは清涼感が漂います。くず粉やわらび粉のもち、とも、ぷにゅん、ともいえない食感は、ほんのり湿り気を帯びてくる初夏の訪れに涼を添えてくれます。こちらは6月からの夏季限定品

自家製のこしあんは、開業当初から変わらない味とのこと。ほんの少しざらりとした舌触りが心地い食感です。口に入れると、甘味だけではなくほのかな塩気を感じてそれがまた良い余韻となって口の中に広がります。ただ甘いだけではなく、この塩気の相乗効果によって絶妙なバランスが保たれているのも魅力的。

アイス最中(小豆)

アイス最中は手の平大。一般的なあんこが挟まれている最中と比べると、なかなか大ぶりです。今回は、自家製の小豆アイスをチョイス。
パリパリ、ではなく、バリバリ!っと勢いの良い音と香ばしいもち粉の風味は、出来立てならではの醍醐味。思わず「う~ん!」と声が漏れてしまうほど。さっぱりとしている小豆アイスは、小豆の皮も良いアクセント。和の要素もしっかりと感じられるところから ニコニコ喜久乃家さんの腕の良さを感じます。アイス最中のお味は、抹茶とバニラも選択可能。

もんじゃ焼きを楽しんだ後のデザートにもイチオシです!

「小学生の頃からおじいちゃんのお店を手伝っていましたね。お小遣い?ありませんよ。」と、どこか楽しそうに話してくださった代表取締役であり三代目の義一さんは、月島生まれの月島育ち。
小学生の頃から、現在も一緒にお店を切り盛りされている弟の孝司さんと一緒におじいさまのお店をお手伝いなさっていたそう。
戦前からニコニコ、という店名は当時にしてはなかなかハイカラだったのではないでしょうか?と、お伺いしたところ、「おじいさんが最初働いていたお店からとったとか、よくわからないんですけどね。」と、ニコニコお話ししてくださった義一さん。

三代目の若林義一さん

「当時は食堂と和菓子屋が一緒になったお店が多かったんです。今もその名残りのお店がありますよね。」とおっしゃる義一さんも、学校がお休みの土日にお店をお手伝いしたあとは、孝司さんと一緒にお店のラーメンを食べていたそう。

かつてのニコニコ喜久乃家

義一さんのおばあさま(右)

今でこそもんじゃ焼きのお店が目立ちますが、かつては八百屋さんだったり他の商売を生業としていたお店が多かったとのこと。働く人たちの憩いの場となっていたのでしょう。
別れ際、さらりと「今の月島」についてお伺いしてみました。「まぁ、寂しいですね…」と、言葉は多くありませんでしたが、その一言に様々な思いが凝縮されているように思いました。

周囲に反響する工事の音や、シャッターに貼られた「建築計画」の文字が目立つようになった「今の月島」。
かれこれ10年以上前、初めて訪れた際の月島の面影とはだいぶ様変わりしたように思います。
とはいえ、時代の流れとともに目を背けてばかりはいられない建物の老朽化や改築・建て替えに伴う法制度の制限。そこへ重なるマンションの建設。
問題ばかりに目を向けていては、今まさにお店を盛り上げようと頑張っていらっしゃる方々の魅力が霞んでしまいます。

複雑に絡み合う気持ちを、アイス最中を噛みしめながら今だけはと払拭。変わらない味、いつまでもここにあって欲しい味が心を穏やかにしてくれます。

誰かの懐かしいは、誰かの新しいになっていくのでしょう。
その中に、 ニコニコ喜久乃家さんの美味しい和菓子やアイス最中がいつまでもあり続けてほしいと思う、梅雨のはじまりでした。

ニコニコ喜久乃家
東京都中央区月島3-17-5
03-3532-2525
(月~金・土日祝日) 10時~19時
(火) 定休日
東京メトロ有楽町線・都営大江戸線「月島」駅 10番口より徒歩3分
都営大江戸線「勝どき」駅 A7番口より徒歩6分

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柳谷 ナオ (区民ライター)

甘いものがなくちゃ始まらない! 中央区と和菓子とあんこが大好きな1児の母。 老舗から新参店まで、色んな和菓子と触れ合いたい。 好きな言葉は「あんこ」「もちもち」

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