【中央区 和みの散歩】「松﨑煎餅」の瓦煎餅(銀座四丁目)

~ お茶の間からよそ行きへ 数多の魅力と可能性を纏う瓦煎餅 ~

2022.06.02
文:柳谷ナオ、撮影:ユキイデ・柳谷ナオ
和菓子大好き区民ライター、ナオです!

練り切りの意匠や旬のフルーツを包んだ大福など、和菓子には四季の移ろいを感じられる要素が豊富ですね。
そんな和菓子のひとつに、目があった瞬間から季節の彩や可愛らしさに、心の温度が上昇するような甘いお煎餅があるのをご存知でしょうか?
今回は、手に取る前からぐっと惹きつけられる松﨑煎餅さんの瓦煎餅「大江戸松﨑 三味胴」(しゃみどう)をご紹介します。

松﨑煎餅さんは1804年、初代 松﨑惣八さんが港区の芝にて「松﨑煎餅」を創業しました。

その後1865年、三代目の宗八さんが銀座に移転。関東大震災や東京大空襲を乗り越え、1953年、六代目松崎五男さんの代に新宿伊勢丹百貨店に出店したのを皮切りに各地へ出店をはじめました。更に2007年、七代目松﨑宗仁さんがブランドリメイクを行い、イートインスペースを併設した松陰神社前店をオープン。

そして2021年7月、八代目松﨑宗平さん(2018年 代表取締役社長就任)が銀座5丁目から歌舞伎座横に本店を移転、「MATSUZAKI SHOTEN」をオープンしました。

パッと目を惹く松のネオンと、松﨑煎餅さんのトレードマークの一本松が印字された深みのある藤色の暖簾。その向こうには、まるでお煎餅の博物館のような空間が広がります。
年代を感じさせる時計があるかと思えば、天井には心地よい音楽が流れるスピーカーが。
異なる素材が調和した空間には、沢山のお煎餅やおかきなどがずらり!まるで博物館のような、もしくはお洒落なブティックのような内装に思わずわくわくしてしまうほど。

そんな豊富なバリエーションが揃う松﨑煎餅さんの商品の中から、今回は大好きな瓦煎餅「大江戸松﨑 三味胴」をご紹介したいと思います。

クジラやニシキアナゴといった可愛らしい動物や、キティちゃんのようなキャラクターに思わずにっこり。
かと思えば、ヒナゲシやシロツメクサといった四季折々の可憐な花々に思わず手が伸びます。どれにしようか迷ってしまう、という感覚も嬉しいですね。

上下はつるりとしたきめ細やかな瓦煎餅。綺麗な正方形は、一枚一枚焼かれていることを物語ってくれます。また、こんがりとしたカラメル色も魅力的。あまーい香りのなかに潜む香ばしさ、これだけで肩の力が抜けていきます…

歯を立てると、しっかりとした歯ごたえと、噛むたびにザクザクとした心地よい音が。卵をたっぷりと使用なさっている生地は、ぱりぱり、とも、さくさく、とも言えないザクザクとした食感。焼き色とほんのり黄色がかった中のコントラストといい、口馴染みの良いコクといい、まるでケーキのようなリッチなお味。
珈琲や緑茶、紅茶のほか、ほんの少し肌寒い日は温かい牛乳と一緒でも間違いない美味しさです。

八代目松﨑宗平さんにインタビュー

今回、松﨑煎餅さんを「和みの散歩」で紹介するにあたり、八代目の松﨑宗平さんにお話を伺いました。

八代目松﨑宗平さん

「おじいちゃんの五男さんからなんですよね、こういうのが好きなのは。」
と宗平さん。

六代目の五男さんは、御唄や着付けを嗜んでいたそう。宗平さんご自身もWEBデザインや瓦煎餅のデザインを考案、更には和菓子やあんこの魅力を発信するイベント「アンコマンないと」のDJの一員として、そのセンスを発揮する表現者としての一面も。
「アーティスティックな遺伝子は六代目からかもしれません。」と優しい口調と真剣な眼差しで話されました。

四季折々の草花や可愛らしい動物が描かれた瓦煎餅。口にする前から心躍るような、なのにホッと安らぐような気持になれるのは、私だけではないはず。

「味が美味しいのは当然なんです。けれど、舌ではなくて脳で感じる美味しさももっと大切にしていきたい。」
と語る宗平さん。

食べてその「味」を美味しいと感じるのは当然ですが、その美味しいという感覚を構成しているものは味だけではありません。人間には五感が備わっているように、手に取りたくなるような絵柄を視覚で感じ、その滑らかな表面に指で触れ、歯を立てたときの固さを堪能し、ざくざくとした耳当たりの良い音を感じる。
それは高級食材や目新しい食材が生み出すものではなく、私たち自身に備わっている物。今あるもの、即ち自分自身を分析してこそ裾野が広がる。

宗平さんに、今後挑戦していきたいことを伺いました。

「味は当然なんだけれども、パッケージにもっと面白さや美しさを取り入れていきたい。そして、今ある商品だけではなく、もっと高級なものだったり特別なブランディングを作っていきたい。」

とのこと。

家族の団欒として、おやつの相棒として毎日楽しめるものから、頑張った自分へのご褒美やワンランク上のひと時に。選択肢が増えることで、美味しいという感覚は変わらずに、新しい楽しみ方が増えていく。
宗平さんのお話しに耳を傾けながら、その時はちょっと良いウィスキーなんかを飲んじゃおうかな、とマスクの下で頬を緩ませたのでした。

「繋」

今回、貴重な時間を共有させていただき、私が宗平さんに抱いた印象は「繋ぎ方がとてもお上手な方」ということ。

本店の内装をとっても、木目の温もり、無機質なむき出しのコンクリート壁、艶美なネオン…それぞれ異なる魅力やテクスチャーの属性でありながら、それを「わくわくとリラックス」という感覚に昇華させる。先ほど述べた五感で味わう瓦煎餅は、異なる感覚をうまくつなげられるからこその美味しさを発揮させる。

「好きなものは好き、正直でいたい。」
と語る宗平さん。

ご自身が好きな物から、今まで紡がれてきた伝統や老舗というある種のプレッシャーでさえも自分の中に落とし込み、世代で差別することなく「美味しいを繋いでいく」。
物事の選択肢がより重要視されるようになった令和の世。
なのに、選択肢を無意識に年代や性別でカテゴライズしてしまっていたのではないかと、自身に問いかけました。

あの愛らしい瓦煎餅達が出迎えてくれる「わくわく」を感じに、またMATSUZAKI SHOTENさんの暖簾をくぐりに行こうかな。

MATSUZAKI SHOTEN・銀座 松﨑煎餅 本店
東京都中央区銀座4-13-8 岩藤ビル1階
03-6264-6703
10時~19時
都営浅草線「東銀座」駅 3番出口すぐ
東京メトロ銀座線「銀座」駅 A7番出口より徒歩5分
https://matsuzaki-senbei.com/
松﨑煎餅のInstagram
MASTUZAKI SHOTENのInstagram
Twitter

柳谷 ナオ (区民ライター)

甘いものがなくちゃ始まらない! 中央区と和菓子とあんこが大好きな1児の母。 老舗から新参店まで、色んな和菓子と触れ合いたい。 好きな言葉は「あんこ」「もちもち」

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