11月4日(土) 『日本橋今昔・落語で味わう江戸の味舟遊び』が開催されました。このツアーは、少人数で船を貸し切り観光ができる「舟遊びみづは」(以下みづは)が2年に1回開催しているのですが、開業10周年記念として落語も追加。初の試みでしたが大盛況で、1回のみの予定がなんと3回に拡大開催。そんな大人気のツアーの最終回に運良く滑り込むことができましたので、その模様をレポートしたいと思います。(1/3ページ)
『日本橋今昔・落語で味わう江戸の味舟遊び』どんなツアー?
「舟遊びみづは」は今年で開業10周年
今回のツアーは簡潔に言うと昔の絵葉書を用いて近代の日本橋の姿を知り、船上で落語を聞き、噺(はなし)に登場したお弁当とお酒を味わうという贅沢企画。
現存する最古の弁当店といわれている、日本橋弁松総本店(日本橋室町1丁目、1850年創業、以下弁松)の八代目 樋口純一社長による昔の絵葉書の解説を受け、和モダン船みづはに乗り、日本橋川~亀島川~隅田川などをクルージング。船の上で柳家三語楼師匠による特別落語公演、そして落語に出て来たお酒や弁松の弁当を味わうという、まさに日本橋今昔を多角的に楽しめる贅沢なツアー。ちなみに参加費はひとり14,500円(税込)です。今年は3回催行して総勢30人が参加しました。
弁松樋口社長による昔の絵葉書解説
知らなかった日本橋の姿に驚く参加者
日本橋の昔の絵葉書のコレクターである弁松/樋口社長。約1,200枚を保有しているとのこと。絵葉書を収集し始めたきっかけをこう語ります。
「代々集めているのですか?と、よく聞かれるのですが、そうじゃありません。2000年頃、他の企業もそうであったように、うちもホームページを作ろうと思ったのです。昔の日本橋の写真を掲載したいと考えたのですが、関東大震災と戦災で全部燃えてしまって何も残っていなくて。それで、色々探したり調べてみたら絵葉書だと日本橋の写真が多く残っていると知り、それで集め始めました。主にヤフオクで購入しています。」
ヤフオクで購入しているとは意外で驚きです。樋口社長曰く、震災と戦災を免れたもの、つまり日本ではなく外国で保管されていたものが出回ることが多いのだとか。絵葉書を裏返すと実際に切手が貼られ、文字が書かれているものもありました。
日本橋開通式の1枚
明治44年(1911年)4月3日、木造から石造りの日本橋に架け替えられ、その開通式が行われたときの模様です。あいにくの雨だったようで、洋傘と和傘(番傘)がぶつかりあう様子が印象的です。
次々に昔の日本橋の風景が映し出され、樋口社長が丁寧に解説します。橋の上を馬が走っているものだったり、橋のたもとに凱旋門が設置されていたり、欄干にイルミネーションが装飾されていたり。日本橋で起きた出来事やパレードなど、貴重な史料としての価値があるので、ずっと飽きずに見ていられます。
ユーモアを交えて昔の日本橋を語る樋口社長
「大勢の人が日本橋に集まった写真なんかは、その中に弁松ネタが無いか探してしまいます。どんどん時間が過ぎてしまうので危険です。」
とのことで、残念ながら弁松のお店がはっきりと写っているものにはまだ巡り会えていないのだそう。同じ日本橋の企業である、千疋屋や国分が写っていたものがあったそうで、それを提供してあげたところ、大変喜んでもらったというエピソードもありました。
関東大震災後のものと思われる1枚
参加者の手もとに絵葉書がまわされ1枚ずつ眺めます。関東大震災直後の写真もあり、被害の凄まじさがよく分かります。日本橋の手前には多くの瓦礫があり、奥には火災で黒く焦げた帝国製麻(現在の帝国繊維(株))と三越が見えます。