中央区民マガジン

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銀座一丁目の寄贈本だけの私設図書館「ぎんいち」知ってる?

~ 京橋公園/勝どきデイルームで子どもの居場所を提供中 ~

2022.06.14
文、撮影:ユキイデ
中央区の子育て奮闘中のパパ・ママ、絵本を読んでいますか?絵本はやはり中央区立の京橋・日本橋・月島図書館で借りることが多いのではないでしょうか?
そんなパパ・ママに知って欲しいちょっと変わった情報です。最近、「京橋公園で出張図書館を開催している」「読み聞かせもやってる」という面白そうな噂が。編集部ユキイデは早速足を運んでみました。京橋公園でお会いしたのは近くの不動産会社に勤める佐々順子さん。「ぎんいち」という寄贈本だけの青空・私設図書館を不定期で開催している模様。色々質問攻めしてみました。

寄贈本だけの私設図書館「ぎんいち」の概要
■参加自由・無料
■本の貸し出しもOK
■逆に本の寄贈も受付中
「ぎんいち」のコンセプト
■「自分らしく」いられる場所
■子どもが本来持っている力を信じ、子ども同士が助け合える場所
■大人が干渉しない(見守る)場所

開催場所は京橋公園だけでなく、勝どきデイルームでも行っているとのこと。

京橋公園
主に毎週水曜日(16時30分から17時スタート)

勝どきデイルーム
月に2回開催
第二火曜日10時30分~12時 未就学児向け親子図書館
第三月曜日17時~19時 子どもと若者の図書館
勝どきデイルーム・イベント予定用

京橋公園では雨が降ったら中止、参加自由の青空図書館です。
小さな子どもだけを対象としているのではなく、若者(25歳ぐらい)までが楽しめる本を用意。
佐々さん曰く「ペイフォワード、ギフトエコノミーを実践するサードプレイスとしての機能も果たしたい」とのこと。どうやら奥が深そうなので色々質問攻めしてみました。

中央区で3人の子育てをした佐々さんインタビュー

夕方になると京橋公園に現れる佐々さん

佐々さんは近くの不動産会社に勤務。16時30分から17時ぐらいの間にキャリーバッグを引きながら現れました。

「私はこの近くの銀座で生まれ育ったんです。結婚して無我夢中で子育てをしていました。3人の子どものためにフルタイムの仕事に就き、朝は子どもより早く出かけ、夜は公園で遊んで待っている末の娘を迎えに行く日々でした。その娘が中学に上がったとき、その頃の日々が辛くて毎日泣いていたと聞きショックを受けました。きっと公園で遅くまで遊ぶ子ども達の中には娘と同じ思いで過ごす子もいるのではないか…と、深く考えました。」

バッグの中は絵本や漫画がいっぱい

ご自身の経験から子ども達の居場所について思われるところがあった佐々さん。昔起きた体験談も語ってくれました。

「長男が小学生の時、友達と喧嘩をしていたのを止めずに下の娘を遊ばせていたんです。そしたら他のお母さまから喧嘩を止めないことを叱責されたことがありました。ですが、少しすると近くにいた息子より大きな男の子が喧嘩の仲裁に入ってくれて原因を私に報告してくれました。そうこうしているうちに最後はみんな仲良く遊んでいて。子ども達は私が思っているよりはるかに洞察力・解決力が高くて、子ども同士でちゃんと分かり合える時間が必要なんだな…と、私は子ども達から学びました。」

公園に到着するとまずゴミ拾いを行う

佐々さんが図書館をやろうと思うきっかけのようなものはあったのでしょうか?活動を始めたきっかけを聞いてみました。

「中央区ではないのですが、違う地域の私設図書館「衣笠駅徒歩1分図書館【キヌイチ】」や、「たまプラーザ駅徒歩2分図書館 【ぷらに】」というものがあるのですが、その方達の活動に感銘を受けました。子ども達がYouTubeのライブ配信にも挑戦しているんです。難しい内容のニュースを読み上げて内容を理解し勉強するという企画で、凄く面白いんです。こんな活動が自分の愛する中央区でも実現出来たらと思っていたら…(場所が)狭くて思いがあればやれるからやっちゃいな!ぷらに館長から背中をおされ…勢いでやってしまいました(笑)。まだ小さな活動ですが。」

読み聞かせに聞き入る子ども達

銀座で生まれ育ち、お子さんが小さい頃に勝どきに移り住んだという佐々さん。それぞれの地域の良さを知り中央区を愛しているとのこと。話は昔話になり子育てに関しても地域の方達にお世話になったという、色々なエピソードを聞かせてくれました。

「当時は勝どき三丁目に住んでいたんですけど、ゲーム機のことで息子を叱ったら凄く駄々をこねまして。酷かったので家から追い出したんです。そうしたらご近所の方や大家さんが出て来てくれて。私に何か言うのかと思ったら、息子に『それはお母さんが正しくてあなたが間違ってるよ』と言ってくださって。肩の荷がおりたというか、ご近所の皆さんに助けられてほっとしました。今家を追い出したりすると大問題かもしれませんね(笑)。

良い意味で「おせっかい」な街にしたい

「ご近所のおじいちゃんおばあちゃんが大好きなんです。実は昔、勝どきで凄い悲しいことがありました。勝どきでは有名な町会のおじちゃんがいたのですけど、本当に良くしてくださってとてもお世話になりました。お祭りの時も盛り上げてくれましたし、公園や道でお会いした時も必ず声をかけてくださって。そんな素敵なおじちゃんが、ある時悲しそうな表情で私の前にやって来てこんな話をしたんです。」

『さっき公園で女の子に、何丁目の〇〇さんの子だろ?って話しかけたら、隣のいた子が、知らない人と喋っちゃいけない!って言って、その子の腕を掴んで去って行ったんだよ…。』

「私はとても悲しい気持ちになりました。このままではだめだ、とも思いました。それがこのぎんいちを始めようと思った最初かもしれません。」

子ども達が遊んでいる様子を眺める佐々さん

「地域で子育てをして、子ども達が大人になってもまた戻って来たい場所にしたい」と語る佐々さん。人口が過去最高になり子ども達の数も増えた中央区について「冷たい街になって欲しくない」と少し真剣な表情で語った後、こう続けました。

「公園で変なおばちゃんがトランクから本を出して広げだした…って今は思われてるでしょうね(笑)。でもおかげさまで毎回来てくれる常連の子ども達もいたりして。お母さんやお父さん達も顔見知りになってお話したりしているのを見受けられます。私がぎんいちの活動をしようと思ったのは、昔中央区で出会った公園の子ども達、私と同じ様なパパママ達、そしておじいちゃんおばあちゃんのおかげです。新しく中央区に引っ越してきた方達にこそ、ぎんいちに来てほしいですね!」

京橋公園近くの路上で

「子ども達って塾サボりたい時あるじゃないですか?そんな時に図書館にいるって言ったら聞こえがいいじゃないですか(笑)?」

笑顔で佐々さんはこう続けました。

「おじいちゃんおばあちゃんが元気に中央区に住み続けられて。その古い母屋に若者で新しい息吹を吹き込んで。そして古くて格好良い街並みや居場所を中央区に残したいです。地域で子ども達を育てるサードプレイス、そんな風にぎんいちはなりたいです。」

佐々さんと話していると、まるで昔から知っている親戚のお姉さんのような感じで、色んな話に脱線してしまいとても楽しかったです。公園に来ているパパママ達とも、そんな風に楽しそうに会話をしている姿が印象的でした。
ぎんいちは不定期開催ですので、開催有無の情報はSNSをチェックすることをオススメします。下記にfacebookとInstagramのリンクを貼っておきますので、気になった方はぜひフォローしてみてください。

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ユキイデ (編集部)

2006年から日本橋エリアに住み始める。 南大阪生まれの巨漢。デスメタルが大好き。 おばあちゃん子。

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