銀座2丁目昭和通り沿いに並ぶ2つの店舗、スワンカフェが6/23、スワンベーカリーが6/25閉店しました。ビルの建て替え工事ということらしいのですが、再オープンする日はいつなのでしょうか?
スワンベーカリーは1998年6月にオープン、今年でちょうど23年。地域の人々に愛され続けてきたお店の営業最終日には、多くの方が別れを惜しみお店へ足を運びました。お店を運営する(株)スワンの代表取締役社長 江浦さんにこれまでの歴史、地域との繋がりやエピソードを語っていただきました。
閉店理由はビル建て替え工事。再オープンはいつ?
スワンカフェ、ベーカリー、隣のヤマト運輸昭和通りセンター、そして写真には写ってないですが、小さな路地を挟んだヤマト銀座ビルも既に建替え工事が始まっています。囲いが設置されており、もうスワンのお店は見ることができません。今回中央区民マガジンは(株)スワンに取材を申込み、同じ銀座2丁目・亀井川橋のふもとのヤマト運輸本社ビル内で江浦社長にお話を伺うことが出来ました。
カフェとベーカリーが閉店してしまいました。中央区民マガジンの読者の間では「3年後に再オープンする」「もう戻ってこないのでは?」など、色んな噂が流れています。江浦社長からお答えできる範囲で、決まっていることなどあれば教えていただけますか?
現時点ではまだ何も決まっておりませんが、ビルの建て替え工事は3年から3年半を予定しており、ビルが完成しましたら、その中にお店が入る予定です。ただ、また同じカフェとベーカリーが入るとは決まっていません。どの様なお店・業態になるかはこれから打合せしていくところです。
なにかしらお店が再オープンするということで、期待して良いのですね?
はい。また同じお店が再オープンするとはお約束できないですが、ビルが完成したらお店は入るので、約3年後なのでだいぶ先になってしまいますが、ご期待いただければと思います。
(株)スワン 代表取締役社長 江浦聖治さん
それを聞いて少し安心しました。私はスワンカフェには行ったことが無かったのですが、スワンベーカリーのファンでして、もはや生活の一部でした。閉店と耳にした時は衝撃でした。きっと同じように寂しく思っている地域の方も多いと思います。
6/25閉店の時は多くの方がお店に足を運び、お店の前で「なんでやめちゃうの?」「いつ再開するの?」と話しているのを耳にしました。そういった声が多かったのではないでしょうか?
そうですね。6/21から6/25、最後の感謝祭を行ったのですが、5日間で約3,000人のお客様がお店に足を運んでくれました。最終日は生地が足りなくなり完売になりました。23年間営業を続けてきましたが、初めてのことでした。
お客様から電話がかかってきて「最後にシナモンロールが食べたい!」と、お願いされ(笑)、急遽対応させていただきました。本当に地域の皆さまに愛されていることを実感し、感謝しております。スタッフにも「お世話になりました」「ありがとう」と沢山お言葉をいただきました。本当にありがとうございました。
働いていたスタッフの皆さんは?
お店のスタッフの方たちの元気な挨拶や明るい対応がとても印象的でした。
スワンは障がい者雇用に力を入れていたイメージがあります。閉店になり、働いていたスタッフの方達はどうなったのですか?
銀座店のスタッフは全員、他の直営店舗へ分散、配属になりました。退職した者はいません。
スワンは全国に直営店が4店舗、加盟店が24店舗有り、全ての店舗で障がい者を雇用しております。1993年に故・小倉昌男が障がい者の自立と社会参加の支援をする福祉財団を設立したのが始まりです。「アンデルセン」「リトルマーメイド」を全国展開している(株)タカキベーカリーの協力を得て、同社が開発した冷凍パン生地を使用することで、誰でもパンを美味しく焼けることがわかり、1998年にスワンベーカリーがオープンしました。
隣のカフェは2002年にオープンしました。ベーカリーで焼いたパンを提供する本格的なカフェスタイルで、ディナータイムには、生ビール・本格的なワイン・カクテルなども楽しめるお店でした。
昭和通りに面したディスプレイはいつも工夫を凝らしたものだった
そのような経緯があったのですね。ところで、スワンの名前の由来は何なのですか?
生地を供給して頂いているお店の名前とアンデルセン童話の中からヒントを得て、「スワン」と命名しました。ひとりひとりが羽ばたいていくという思いも込めて。
最終日の看板には綺麗な花が飾られていた
23年間で銀座のこのあたりも随分変わったと思います。印象に残っている地域の思い出やエピソードなどはありますか?
オープン当時はまわりにパン屋がほとんどありませんでした。特に、焼きたてのパンが食べられるということで、OLさんやオフィスワーカーの方によくご来店いただきました。最近では周辺にマンションが建ち、ベビーカーを押した家族連れがよくお店に来てくれるようになりました。
銀座2丁目町会の納涼会「ハワイアンパーティ」には毎年参加していました。昨年はコロナで開催できなかったのが残念でしたね。
中央区役所にも出向いて台車を押してパンを販売しておりましたし、中央区内の公園で行われたイベントにも出店しておりました。銀座ミツバチプロジェクトの活動にも参加しておりましたし、中央区とはとても密接な関係でした。
最終日の店内の様子。閉店時間を待たず完売に
スワンベーカリーで一番人気の商品は何だったのですか?
やっぱり塩パンですね。ショコラも人気でした。
塩パンのあんこ&生クリームが最高でしたね!甘いとしょっぱいが両方味わえて大好きでした!
そうですね、ありがとうございます。冷やしても美味しいんですよ!
編集部ユキイデの家には、毎月16日スワンの日に貰った景品が沢山ある
色々とお話を聞かせていただきありがとうございました。私としては生活の一部が無くなってしまったので喪失感がもの凄いのですが、今後中央区内でイベント出店などの予定はないでしょうか?地域の皆さまへメッセージをお願いします。
残念ながらその様な予定は今のところ無く申し訳ありませんが、ビルが完成しましたら、皆さまに喜んでいただけるものを提供しようと考えております。少し先になってしまいますが、お待ちいただければと思います。赤坂店、品川港南店などもありますので、そちらもぜひご利用ください。銀座での23年間、本当に有り難うございました。
銀座方面に取材がある時、奥さんから「スワン買ってきて!」と毎回頼まれていました。それがもう無くなってしまうのは本当に寂しいです。
取材先でスワンの話題が出て感じるのは、皆さんそれぞれ好きなパンが違うということ。三角のチーズパンだったり、パニーニだったり、ジャーマンドッグだったり。季節の限定商品もとても美味しかったです。戻ってくるのは少し先ですが、再オープンするその日まで塩パンのあの味は忘れません!首を長くして待ち続けたいと思います。