中央区でウミネコの姿を頻繁にみることになったのは最近です。朝夕に上空を飛ぶ姿を見かける程度だったのが、2、3年前から明らかに巣がこの近辺にあるのでは?というような行動に変わってきました。
~ 朝までニャアニャア、他エリアも他人事でない理由とは? ~
上空を旋回するウミネコ
中央区でウミネコの姿を頻繁にみることになったのは最近です。朝夕に上空を飛ぶ姿を見かける程度だったのが、2、3年前から明らかに巣がこの近辺にあるのでは?というような行動に変わってきました。
昨年は日本橋富沢町のビルに巣があるという情報でしたが、今年は人形町三丁目や堀留町のビルに巣を作ったようです。
一か所ではなく周辺の複数のビルの屋上で巣作りをしている様子で、近隣の方の話によると緑化されていたり直射日光を遮る日影があったりと居心地のよい屋上に巣を作っているそうです。
昼間も夜中もひっきりなしに大きな声で鳴くようで窓も開けられないようです。
もう一つの問題が糞。
巣の周辺の道路は白い糞でいっぱい。景観はもちろん衛生面でも非常に心配です。飛行中に糞をするのでいたるところに糞が。編集部も取材中に被弾しそうになる場面も。
こまめに掃除しているそうですが
道路はもちろんパーキングエリアの車にもお構いなし。朝昼晩とずっと飛び回っているので洗濯物を外に干すことは出来ません。
この一帯は商業エリアでもあるので、コロナ禍でただでさえ少ない客足に更に追い打ちです。
「なぜ海から離れたこのエリアに?」と疑問に思いますが、築地市場解体、豊洲や晴海の再開発、屋上緑化推進で住み心地が良いなど色々な説はありますが判然としません。きっと複合的な要因が重なって現状に…と最初は書いたのですが、
どうも違うらしい・・・
実はウミネコが東京湾で目撃されることはあっても営巣地は確認されていませんでした。どうも上野動物園で保護し放鳥したウミネコが不忍池周辺に営巣したのがきっかけのようです。
その後、2010年代に周辺のビルでも営巣が確認されるようになり個体数も急増したようです。東日本大震災で営巣地を失った個体が合流した説、自然増説などありますが真相は定かではないです。
ともかくその後、上野から墨田区や江東区のビル屋上へと範囲は広がり、現在は中央区でも絶賛繁殖中の状況になりました。
参考までに月島のコミュニティに伺う機会があったのでお聞きしましたが「特に見覚え(聞き覚え)はない」とのことでした。
この段落は以下の文献を参考にしています。
「東京都内湾運河部の人工構造物上で初めて確認されたウミネコの繁殖記録」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/birdresearch/13/0/13_S1/_article/-char/ja/
もちろん住民の方は区に対応の要請をしているのですが、ウミネコは鳥獣保護管理法の保護対象にあたるため駆除ができません。鳥獣保護法では『鳥獣を捕獲・殺傷したり、鳥類の卵を採取・損傷したりすること』が禁止されています。
営巣し産卵した段階ではもう遅いのです。打つ手はありません。
中央区のウミネコは子育て期間が終わった段階(例年10月ころ)で営巣地から姿を消します。その間に巣を撤去した後、巣を作れないようにネットや釣り糸で対策を行うしか方法がないのが現状です。
うちの町には関係ない、、、と思ったあなた、間違いです
このウミネコの巣、去年は隣の日本橋富沢町周辺でした。その富沢町で対策が徹底されたのか現在の場所に移ってきたのです。
今年営巣されてしまった建物は対策を行うでしょうから、来年になるとウミネコは次の住みよい屋上を探します。つまり、対策を行っていない次の住み心地の良い屋上が被害にあう可能性が高いのです。
秋になってウミネコがいなくなると忘れてしまいますが、来春にはまたこのエリアにウミネコはやってきます。上空を飛び交う今のうちに町会やマンション理事会等で注意喚起や対策を行ってください。
中央区からも産卵前に対策を行うように注意喚起が行われています。
ウミネコ問題、具体的な対策例や狙われやすい屋上など追加取材をしたいと思います。続報をお待ちください。ウミネコはカラスより強いのか「このエリアからカラスがいなくなった」というお話も住民の方から聞きました。その辺りも次回は掘り下げようと思います。
青森県八戸市の蕪島の営巣地
観光資源にもなっておりこのような営巣地に誘導できるのが理想です。東京湾でも自然に近い環境に移動してもらえれば良いですね。
地域企業・団体に協賛いただいてます
山下信治 (編集長)
中央区民マガジン編集長。その割に中央区に住み始めて10年程度の新参者。BABYMETALとコリドラスが心の拠り所。東京都板橋区出身。