- とにかくスピード感が大事なので有志で動いた
- 築地を理解してもらうのが最大の目的
- 中央区の台所として平日の普段使いにも
- とにかくお店の人と話してほしい。尚、築地で値引き交渉はマナー違反です
- 古き良き築地場外市場を守ります
築地はしご酒実行委員会にお話を伺いました
副委員長の伊藤信吾さん(伊藤海苔店)
商店会や商工会議所ではなく、地元の有志によるクラウドファンディングとのことですが、それに至った経緯を教えてください。
まず区にこのような企画をやらないのか聞きました。そうすると計画していないと。じゃあ、自分たちで動こうとなった訳です。はじめは地元の業界団体(NPOや商店会)での主催も検討しました。
ただ、業界団体の場合は全加盟店への説明・承認の場が必要です。意思決定の段取りも複雑です。規模も大きすぎて自分たちではとてもカバーできない。しかし、状況も状況なのでスピード感が最優先ということで、6回のイベント開催の経験がある地元有志による「築地はしご酒実行委員会」という枠組みにて飲食店の団結力を活かし企画しました。
参加店には錚々たる顔ぶれが並びます。お声がけをした際の反応はどうでしたか?
すしざんまいさんや寿司清さんなど全国的に有名なお店にも参加いただいています。日頃から地域のお祭りやイベントで協力いただいていることもあり快くご参加いただきました。
一方でアナログなお店も多いので、クラウドファンディングの仕組みを理解いただくことに時間がかかりました。実は理解はしていないけど「君たちがやることだから」と粋に反応してくださった方もいるかもしれません。また、やくそくお食事券を購入いただく仕組みではありますが、直接お金を集めるという手段に嫌悪感を持たれる方もいらっしゃいました。色々な意見はありましたが、趣旨に賛同いただける飲食店舗を中心にプロジェクトをスタートしました。
既にクラウドファンディングの目標金額は目前ですが。(※取材時点。すでに成立金額は達成。)
今回は店舗を指定したご支援が中心です。「支援したくてもお金の使い方がわからない」との声が常連さんから各店舗に届いています。そのお答えとして各店の常連さんにこのプロジェクトをご案内して今の結果につながっています。
今回の支援金は各店舗への分配だけでなく、医療従事者への感謝の形として地域医療を支える医療従事者のみなさまへのお食事券のプレゼントや、コロナ終息後のイベントの準備のためにも活用いたします。
今回のクラウドファンディングは各店舗にとっては一時的な支援です。これから社会や生活様式の変化が起きるといわれています。築地の各店舗はどんな変化が必要でしょうか?
このプロジェクトは築地を理解してもらうことが一番の狙いです。テンプレ化した内容ではなく築地の特色を伝えることが重要です。
築地の各店舗は商品だけでなく、この築地という土地に愛着をもっています。築地の魅力は商品だけでなく「人」です。それに呼応してお客さまも集まります。ご年配のお客様から「築地に来ることで元気をもらっている」という声をよく頂戴します。
北島商店というスパイスや調味料を扱う店舗が4月に一時閉店しましたが、逆に常連のお客様たちが困ってしまってすぐに営業再開したことも話題になりました。それも築地らしいトピックスです。
社会の変容は分かりますが、今までの形を継続することが非常に重要だと思っています。通販が主流になったとしても、対面で、会話でなければ伝わらないものがある。
銀座の隣、大都会のど真ん中にいきなり下町が出てくるところが築地の強みです。情緒あふれる「昭和な感じ」を次の世代に引き継ぐことが責任だと思っています。
今後のまちづくりに関しては、再開発とは違う形で話し合いが始まっています。すでに未来を見据えた流れが出来てきています。
今回の件で築地は地域の台所、語弊があるかもしれませんがスーパーマーケット的な役割が再認識されたと思います。一方で初めての人には敷居が高い、端的に怖いイメージがあります。
以前の場内市場のイメージが強いんだと思います。なんか聞いたら怒られるんじゃないかっていう。実際は逆で店頭に立つのは、皆その商品のプロです。怖そうな雰囲気かもしれませんがとにかく質問してください。どんなことでも真剣に答えます。
一点だけ。築地で値引き交渉はNGです。もともと卸値に近い価格ですし、何より品質に絶対の自信をもっています。プライドを持って商売していますので、そこだけはご注意ください。
どやしつけられるかもしれません。
とはいえ、常連になればきっとお店の方からオマケしてくれますよ。
まだ通りは閑散としています
中央区民マガジンの読者にメッセージをいただけますか?
クラウドファンディングには身近な築地としてご利用いただきやすいようお食事券コースやお取り寄せコースを設定しています。7/21まで引き続き募集していますのでご協力お願いいたします。
中央区の台所として、週末にお寿司や海鮮丼を食べにくる場所にとどまらず、平日に普段使いしてもらえるよう我々も努力していきます。これを機会に足を運んでいただければ幸いです。
伊藤さんのお店も紹介してください
築地場外にて伊藤海苔店という有明海の良質の海苔を扱う海苔の卸問屋を経営しています。大正12年(1923年)創業でもう少しで100年になります。築地に来たのは戦後ですね。私で4代目になります。海苔のご相談をいただければ試食しながら一緒にお探しします。
また、「Matcha Stand Maruni」というお茶のスタンドをOPENしまして、抹茶ラテなど好評いただいております。海苔とお茶はお任せください。
伊藤海苔店
最後に、自分のお店以外で一店舗おススメするとすれば?
おススメはあり過ぎますが…。うちの店の並びなんですが「沖水産」という鮭の専門店があります。そこの中辛の塩鮭が最高です。一度食べてもらえばほかの鮭は食べられなくなると思います。朝にご飯とお味噌汁、焼き鮭で最高です。
本日はありがとうございました。
溢れ出る築地への愛情と家業への誇り。市場が豊洲に移転し正念場を迎える築地場外市場を自ら盛り上げようという気概がヒシヒシと伝わってきました。
代理店やコンサルが作るものではなく、築地というアイデンティティを守るために自ら動き造る、このプロジェクトからは躍動感が感じられます。
その展望が「今までの形の継続」であるのもまた面白いポイントでした。
応援したいなという方は是非プロジェクトの特設ページをご覧ください。
https://readyfor.jp/projects/tsukiji845